でっきぶらし(News Paper)

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58号(1987年08月)3ページ

動物園こぼればなし◎ハクチョウのミステリー

3月29日のことです。3羽いるコブハクチョウの内1羽の姿が見えなくなってしまいました。
「数日前にメスの子がオスに追われていたよ」と飼育課員の話もありました。
切羽してあるので飛んでいくわけはありません。オスに追われて外に出歩いたといってもたかがしれています。タヌキか何かに殺されたといっても、あの大きな体で、しかも真白ですから、目立つし、見つからないはずはありません。
さっそく手のあいている人に手伝ってもらって附近一帯の捜索を始めました。ところが園内を初め、園外の遠くまで捜しても、ついにその姿は見つかりませんでした。
そういえば、これまでもハクチョウの失踪は3回あり、1年後にオーバフローの土管の中で白骨で見つかった1羽以外は見つかっていないのです。
丁度その頃、メスは池の奥の陸地の、人目にふれない所で、卵を生み、抱卵に入っていました。メスの子もその隣りに座っています。つまり行方不明はオスの方だったのです。
4月2日卵の確認の為、その巣に近づいた所、巣の横の繁みの中に、ポッカリとあいた大きな穴を発見しました。そして、その中に行方不明のオスが落ち込んでいたのです。
抱卵の為、安静にしようとこの巣の周囲には近づかなかった為に、この穴に気が付かなかったのです。
幸い、比較的元気だった為、1日病院に収容し、元の池に戻しました。
もし何日か発見が遅かったら・・・。何とも人さわがせな数日間でした。
(飼育係 秋元錠一)

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