でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 58号の9ページへ58号の11ページへ »

58号(1987年07月)10ページ

幼児動物教室のうらばなし パート?U

 前号にひき続き、今回は幼児動物教室がどのように行なわれているかお話ししたいと思います。午前十時二十分頃、子供達が子供動物園にやってきます。トイレにいって、さあ並んで、「おはようごさいます!!」十時三十分、朝のあいさつから教室が始まります。馬場ではポニーのマミーが、子供達をのせるためにすでに待っています。ウサギ広場では、ウサギ達が抱っこしてもらう為にとびはねています。
 二班に分れていよいよ始まりです。ポニーに乗る班、ウサギを抱く班それぞれ、保母さんにつれられてやってきました。まずポニーの乗り方の簡単な説明をきいてから一人ずつ馬場を一周します。幼稚園一のいたずら坊主も緊張した顔をしてポニーに乗っています。降りた時のほっとした顔、表情の変化がどの子供にもはっきりわかります。
 ウサギの方はどうかと見ると、抱き方の説明を聞き、理解したような顔をしていますが、実際に自分でつかまえて抱いてみると、なかなか上手にできないものです。しかしウサギコーナーが終わった時「ウサギを自分で抱いて小屋に持ってきて下さい」と言うと、最初は抱くことができなかった子供達も自分で抱いて小屋まで運んできます。それだけでも進歩したのですネ。
 次にヒヨコの番です。「大きくなったらなんの鳥になるのかな?」担当者が子供達に質問します。「ニワトリでーす!!」「それではニワトリは空を飛ぶことができますか?」などといった質問が続きます。次に、おじさんの手には大きな卵が持たれています。「さて、なんの卵でしょう。飛ぶことはできませんが、世界で一番大きな鳥です。」そこで答えがかえってきました。「ダチョウかな?」子供一人、一人が一・五キロある卵を交替で持ってみます。「重たい卵ですネ」と子供達に話しかけると、意外に答えは、「軽いよ!!」とかえってきます。感心にもダチョウの卵を使用してからまだ一度も子供達が落として破ったことがないのです。それだけ皆んなまじめにやっているのだと思います。
 続いてはヤギにキャベツを与えるコーナーがあります。園内で動物に餌をやってもいいのはこのコーナーだけであることを子供達に話をしてから始めています。ヤギの前に座り、おじさんからやり方の説明があり、それから各々キャベツを持ってヤギに与えています。指の先でつまんで与える子、手のひらにのせて与える子、各々少々恐いなという気持ちで与えているようです。
「さあ、それでは次にヘビと記念撮影でーす。並んでください。」保母さんが子供達を六人一組で次々に並べてゆきます。そしてインドニシキヘビについて説明し、「それでは見本をみせますから、一列目の人、前にでてきて下さい。」と催促します。こわごわ最初の子供達がでてきました。その時、保母さんにすぐヘビの尾を持ってもらいます。「先生も抱いているぞー。さあ両手を前にだしてごらん。」子供達が両手をだしたところで、ヘビを手の上に乗せます。「一人でも手をはなすとヘビが下に落ちるぞ。がんばって抱いてみようネ。」
 一組が終わればしめたものです。あとの列は、それに終いて無事終了ということになります。しかしそううまくいくことばかりでなく、時には一列目の子の中に極端にヘビのにがての子がいて泣きだしてしまうと、そのあとが大変です。次に抱く子が連鎖反応で泣きだしてしまう、そんなことも長い間には何回かありました。
 さて動物教室もとうとう最後になりました。動物の鳴き声クイズのコーナーです。担当者がテープレコーダーを持って登場します。横にはヒントの絵を持った保母さん。これで準備が完了です。クイズを始める前に、おじさんから注意があります。「鳴き声が終わったら、はい、どうぞ、と言います。そうしたら手をあげて答えて下さい。」さあ、始まりました。第一問、ゾウの大きな鳴き声がテープから聞こえてきます。だれかが「はーい!!」と大きな声をあげて手をあげました。それにつられて何人かの子供達も大きな声で「はーい!!はーい!!」と手をあげます。おじさんが口に指をもっていき、「約束はどうしたかな?…はい、テープが終わりました。さあどうぞ!!」それからもう一度、子供達が「はーい」と大きな声でいいながら、手をあげました。「先生、どうぞ」少し迷っていた保母さんが一人の子供を指名しました。「ライオン。」「違いまーす。」「ウシかな?」…「ゾウだ。」「あたり!!」
 続いて保母さんが書いてきてくれたゾウの絵を見ながら担当者から子供達に質問します。「ゾウの鼻の穴はいくつでしょう。」「一つです。」「一つだと思う人は手をあげて下さい。」するとほとんどの子供が手をあげます。「残念ですが違います。二つなのです。ではもう一問。ゾウさんはどこから水を飲みますか?」ほとんどの子は「鼻から飲みまーす。」と大きな声で答えます。そして数人が「口から飲みます。」と答えます。「正解は、鼻で水をすくって、口で飲むのです。さあ、口で飲むと答えた人に拍手をおくりましょう!!」といった調子で一つ一つの鳴き声クイズを行なっていきます。
 鳴き声クイズが終了すると、最後の注意事項を子供達に話します。「では、最後に皆さんにおじさんから二つだけ注意をします。よく聞いて守ってくださいネ。まず一つ、今日ヘビさんにさわり、抱いてみました。ヘビが恐くなくなった人、手をあげてください。」ほとんどの子が「はーい」と大きな声で返事をし、手をあげます。「恐い人はさわることがありませんネ。恐くないと手をあげた人、よーく聞いてください。今日皆さんがさわったインドニシキヘビは、おじさんがいつもよしよししながら、さわったり、抱いたりしているので、人にさわられることに馴れているのです。だからおとなしくしてくれるんですヨ。皆さんのいの周囲や山に行った時に、時々ヘビを見ることがありますが、こういうヘビは人間にさわられたり、抱かれたことがありません。ですから皆さんが恐くないと思ってつかまえると、ヘビはにげようとして咬むことがあります。特にマムシやヤマカガシなどといった毒ヘビに咬まれると死んでしまうことあります。だから、絶対にヘビを見つけてもさわらないようにしてください。おじさんと約束できる人、手をあげてください。」「次に、ヤギさんにキャベツを与えましたネ。これも今日だけですヨ。またおとうさんやおかあさんと、あるいはお友達といっしょに動物園にくることがあるかもしれませんが、そんな時動物に食べものを与えるいる人がいたら皆さんは、動物がおなかをこわします。食べ物を与えないで下さい。と注意してくださいネ。以上、二つの約束を守れますか?」「はーい!!」と元気な返事がかえってきます。
 「それでは、これで終わります。手をきれいに洗って帰ってください。さようなら。」
こんな具合に三人の職員が担当して幼児動物教室は実施されています。この教室をきっかけに動物にさわれるようになったり、好きになってくれたらと思っています。
 また、この教室の時以外でも子供動物園の中にウサギのコーナーがあり、どなたでもウサギをさわったり、抱いたりできます。数?一度あなたもおでかけ下さい。お待ちしています。
(小島昭一)

« 58号の9ページへ58号の11ページへ »

一覧へ戻る

ページの先頭へ