でっきぶらし(News Paper)

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59号(1987年09月)3ページ

レンズから見た動物達「ワニの葬式?」

 爬虫類館でものものしく、数人の飼育係が木の箱を移動しています。木の箱は「お棺」のように細長いので、何も知らないお客様は死体でも入っているのかと思ったかもしれません・・・。
 実は、ワニの池が漏水していて、改修工事の為に一時ワニを移動することになったのです。そう「お棺」に入っていたのは死体などではなく、生きたワニが入っていたのです。
 わずか数十m離れたゾウガメ舎の中の仮施設までの移動ですが、何せ相手はワニ、しかも3頭のうちの1頭は2m近い大物です。他の2頭のように捕獲アミでぐるぐる巻きというわけにいかなかったのです。
 上からすっぽりとかぶせ、板をその下に差し込んでひっくり返し、それからしっかりと釘を打ちつけました。その長細い「お棺」のような箱を、うんうんいって移動させたのですから正に葬式のような行進でした。
 小さい方のワニだって決して楽ではなく、捕獲アミをかけて動かなくしたものの、それでも尾の力は強くて、振り回すのを飼育係は必死でつかんでいました。私はレンズを通して眺めていましたが・・・。
(佐野一成)

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