でっきぶらし(News Paper)

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59号(1987年09月)5ページ

動物の食べ物 第8回 夜行性動物館その1 ルーセットフルーツコウモ

 新館においての主眼のひとつに、“コウモリの飛ぶ姿を見せたい”がありました。何たってカッコいいし、面白いし、夜行性館の趣旨にぴったり添います。
 旧館同様の大型のコウモリが展示されたのはほんの一時期で、私達が暮れの空によく見かけるアブラコウモリに比べればふた回りくらい大きいものの、かなり小型のルーセットフルーツコウモリが入手できると、すぐ様入れ替えられました。飛翔させるのは限られたスペースの中では、大型のコウモリでは無理だったのです。
 食べ物は名前の通りです。果実類を主食にしている動物です。よく目をこらせば、口に入り易いように切られたリンゴやミカン、バナナ、あるいはニイモやパンを逆さまの格好(これが当たり前の姿勢だが)や、這いずった姿で食べています。
 飛ぶ姿はカッコよくとも、食べる姿はお世辞にもそういい兼ねます。でも、不思議に、かつ面白く思うのは、そんな格好で食べかつ休息を取りながら、つまり“万有引力の法早hに逆らいながら、よくぞうまく消化するものだということです。
 これは余分な話ですが、インドオオコウモリの場合などは、さすがに結果を出すときだけはまともな格好?をしました。このことを前担当者に尋ねると、フルーツコウモリの場合も同様とのことでした。
 「へえー、コウモリって果物を食べるのか。」と思って頂くのは、少々早計です。世界に千種類以上も生息するとあって、食性も決して一様ではありません。一般に大型は果実類、小型は昆虫(主に空中で捕食)で、特殊なものとして魚や花の蜜、生血を主食にするものがありますが、チスイコウモリはその中でもわずかに3属3種(北・中央・南アメリカに生息)、吸血のイメージはあまり抱かないほうがいい、というより誤解する元だといえましょう。
 してみると、小型でありながら果実食であるフルーツコウモリは、やや例外の部類に入るようです。展示もここ日本平動物園だけのように思われます。

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