でっきぶらし(News Paper)

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59号(1987年09月)7ページ

動物の食べ物 第8回 夜行性動物館その1 ベンガルヤマネコ

 赤ん坊を食べちゃったなんて言えば、このベンガルヤマネコもそう。前の母親は、初産の時、折からの雷雨が夜行性館の中にまで激しく響き、子をくわえオロオロした時ですら、食べてしまうなんてことはしませんでした。
 その時の経験を唐ワえ、2代目の時はできるだけ落ち着けるようにしたのに、初産の時は駄目、巣箱の中で泣き声がしたのは1日、2日だけで、しばらく経って調べてみると、巣箱の中は空っぽになっていました。
 2度目の時も、赤ん坊の鳴き声が聞こえたのは最初の数日だけだったそうです。だからといって、巣の中を簡単に覗く訳にもゆかず、不安と願いと諦めに近い感情が交錯、いたずらに日が過ぎ去るばかりでした。 赤ん坊が生きている、無事に育っている。この朗報がもたらされたのは、実に1ヶ月以上も経ってからでした。まず確認されたのは1頭、更に数日してもう1頭いるのが確認されました。
 食肉獣について回る、赤ん坊を食べてしまう事故、別にふだんの栄養が不足しているとか、片寄っているとかの問題ではありません。あえていうなら、ストレスが原因でしょう。エサでは解決できないのです。通常、彼らに与えられているのは、馬肉と鶏頭に、隔日のヒヨコです。量が違うだけで、質の面でトラやライオンと変わる訳でもありません。いや、隔日ながらも“生き餌”を貰っているだけ幸せなほうでしょう。
 もう、赤ちゃんを食べるなんてことはないでしょう。願い下げにしたいものです。一度収まると、後は案外やらぬものですから、それに期待をかけましょう。

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