でっきぶらし(News Paper)

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63号(1988年05月)5ページ

人工哺育抄(その?U)離乳への歩み◎カリフォルニアアシカ

 代用のミルクで泣いたなら離乳作業にも泣いた、というところでしょうか。何せ人工哺育を始めたのは昨年の5月のこと。それが年内にはとても終わらず、今年の人工哺育ラッシュが始まった頃にようやく終了したのですから、何をかいわんやです。
 まずミルクですが、糖質はゼロで、その分たん白質が高く、脂肪分は30%以上。いかにもドロドロネチネチしたミルクか想像してください。野生では哺乳は1日に1回どころか2日に1回くらいではないかといわれています。
 それだけに栄養補給の為に食肉獣用のミルクにサバのすり身を混ぜたり、サラダオイルを混ぜてみたり・・・。挙句に下痢を招いたりして、様子を尋ねるのも気が引けたくらいです。結局サラダオイルはやめ、サバのすり身だけをミルクに混ぜることで何とか哺乳のペースをつかみました。が、待っていたのは離乳の大きな壁。
 まずは生き餌のドジョウや金魚から。口にくわえて遊ぶ内に食べて味を覚えてくれればしめたものですが、そうは簡単に問屋は卸してくれません。この辺のところをどう語りましょう。聞こえてきたのは、担当者のため息と嘆きの声だけ。何とかコイの稚魚を食べるようになったのは、生後11ヶ月余りを経てからで、その間ミルクに混ぜたサバのすり身の比率をどんどん高めた工夫があったことだけは、申し添えておきましょう。

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