でっきぶらし(News Paper)

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63号(1988年05月)6ページ

人工哺育抄(その?U)離乳への歩み◎ヒョウ

 肉食獣ネコ科の人工哺育は過去にトラ3回、ヒョウ、クロヒョウの6回、ベンガルヤマネコの1回があります。直接関わることは少なかったものの、そう技術的なむつかしさは感じさせませんでした。とはいっても、全部が全部元気に育った訳ではありません。2度目のトラのように、さい帯(おへそ)からばい菌が入り、あえなく死に至らしめたケースもあります。
 まずはミルクですが、ペット用で販売されているものはたいていイヌかネコの乳成分を考慮して作られています。ということは、そのまますんなりヒョウやトラにも適用できるということです。糖質が少なくたん白質と脂肪が高い。肉食獣全般にいえる主な乳成分です。種によって多少の違いは当然あるでしょうが、問題が生じたことはありません。
 見ていて、ちょっぴり面倒だなあと思わせられるのは、哺乳前にオシッコとウンコをさせてあげなくてはいけないこと。自力でできない為ですが、本物のお母さんの場合は、舌できれいに舐め取ってあげるのですよ。
 離乳もいたって楽、といったら叱られそうですが、うんうんいって悩んだ声は聞いたことがありません。離乳用の消化のよい肉があって、それを食べてくれると、脂肪の少ない肉をミルクに浸して・・・。後は親が食べているものを順々に与えてゆけばよいのです。
 皆様の前にちょっぴりの期間ながら散歩でお目見えするのは、こうした離乳作業をほぼ終えた頃です。触って一緒に遊べた方は幸せです。何たってすぐに危なくなってしまうのですから。

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