でっきぶらし(News Paper)

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64号(1988年07月)10ページ

動物園こぼればなし 〜 階段 〜

 アシカの子、誰が名付けたのか、その名も「リキ」。
 名前から想像すると、逞しく1人で何でもしてしまう性格に持ち主と思いたくなりますが、名前とは反対で、いつまでも乳離れしない甘えん坊です。
 彼が誕生したのは昨年の5月24日、親の乳が吸えないため、生まれた翌日、親から取り上げ人工哺育をしています。
 本日でなんと287日目、当園での哺乳日数の記録を塗り替えています。
前日離乳させようと5日間ほどミルクを断ち、鯵、鯖、生きた金魚、鯉を与えてみました。でも、遊ぶだけで、一向に食べようとしませんでした。
 体重を測ってみると、ミルクを断ち切る前よりも3kgもやせていました。
 過保護なのでしょう、やたらと可哀そうになりミルク断ちを中止し、また人工哺乳を続けています。
 鯖入りの特製ミルクを作るのに、動物病院二階のミキサー、湯沸しを利用させてもらっています。
 以前は1日3回、現在は1日2回の哺乳をしています。
 この二階に上る階段、家庭用の階段と違い、計16段もあります。
 ベストコンディションの時は一気に駆け上りますが、疲労感の激しい時、体調の悪い時などは13段目辺りで一息、そして溜息をついて残り3段をドシドシと上ります。
 毎日毎日の事、この残りの3段が非常に煩わしいと思っています。
 夏、秋、そして冬に。この3段余分な階段を利用しなくなるのは、いつの頃になるでしょう。
(飼育課員 川村敏朗)

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