でっきぶらし(News Paper)

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64号(1988年07月)1ページ

レンズから見た動物達

★慰霊祭に思う

 今年も動物慰霊祭が行なわれる九月がやってきました。なせか雨の日が多いと思うのは、私だけでしょうか。
 これは亡くなった動物達の涙雨か、次々と動物の名前が読みあげられるのをじっと目を閉じて聞いていると、長年被写体として生き生きと輝いていた姿が浮かんできます。寿命の何分の一かの魂を抜き取ったのは、俺のせいかも(まあ、これは冗談ですが…)
 注文通りの写真が撮れなくて何回も通って粘ったこととか、様々な撮影の時の失敗したこと等が、思い浮かんできます。
 彼等動物達が、この動物園を悔いのない一生が終えられるようにと飼育しているつもりですが、彼等からしてみれば、まだまだ私達の力足りずというところでしょう。
 元気に少しでも長生きして欲しいものです。彼らの魂まで抜かない程度に気合を入れ直し、被写体として追い続けてゆきたいと思います。
                                          (池ヶ谷 正志)

★ああ背景

 動物園で写真を撮る時いつも気になるのは、背景です。できるだけオリとかサクが写らないようにと工夫するのですが、どうしても入ってしまう場合は、思いきりアップで狙ってみます。
 そうすれば画面全体の背景の占める割合が少なくなるし、オリなどが出てもかなりぼやけてあまり気にならなくなります。
 しかし、望遠レンズでアップにすると少し事情が違ってきます。後ろのオリやサクなども一緒に近づけてしまう為に、動物の後ろにベタッと張り付いたように写ってしまいます。更に悪いことに少々遠くにあるサクでも、ピントはぴったりで写ってしまいます。 
 アップで写す時もできるだけ自分が動物に近づくか、動物を自分に近づけるほうがよいのですが、そんなことがいつもできるとは限りません。ならばどうすればよいのでしょう。
 以前、フラミンゴを狙った時のことです。どこからファインダーを覗いても後ろのサクが写ってしまい、シャッターを押せませんでした。
 ならば逆光で試みてみようと、フラミンゴが水浴びしている時に、太陽を真正面にして写したところ、フラミンゴが上げる水しぶきが白く光って、後ろのサクを見事に消してくれたことがありました。
 その後も味をしめて、逆光の写真に凝っているのですが、まだ一枚も成功していません。フラミンゴのあれはまぐれ!?だったのでしょうか。
                                           (鈴木 和明)

★片寄る写真撮影

 写真記録係を受けて、早くも三年が過ぎようとしています。園全体の動物を撮ろうと頑張っているつもりが、どうも片寄りが強いようです。
 どうしても簡単に撮れる草食獣関係のものとか、近くにいる動物になってしまうのです。撮り辛いものや遠い場所にいる動物などは、ついおろそかになってしまいます。類人猿関係は最たるものです。
 爬虫類関係は全体に撮っていない、と言っていいでしょう。前の「でっきぶらし」ででも書いたと思うのですが、フラッシュが苦手そのものなのです。爬虫類は少なからずフラッシュを使用せねばなりません。
 爬虫類の担当者は、新着動物がくるよとか、ヘビがふ化したよとかの情報をくれるのですが、フィルムを渡すから撮ってもらえないかななんて調子になってしまい、ますます足は遠のいてしまいます。
 また仕事の関係上、写真の撮れる時間も少なくなってこの問題に拍車がかかっている今、なお一層の努力をせねばと自らに活を入れ直しています。
                                           (佐野 一成)

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