でっきぶらし(News Paper)

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64号(1988年07月)7ページ

実習を終えて

(日本動物植物専門学院 岩邉 佐和子)
 こちらの日本平動物園で実習させていただけると聞いた時は、喜びと不安が入り混じった複雑な気持ちでした。野生動物に接する事ができる、でも、しっかりやれるだろうかと。そして八月一日、動物園の門をくぐると、そこはすでに私が幼稚園の頃から行っていた動物園ではなく、違ったどこかの動物園のような気がしました。
 一週間目。私のスケジュールは、ゾウ、バイソン、キリンでした。掃除するスペースが広く、ゾウ、バイソンなど糞が大きくて、はじめはどっと疲れました。糞かきと、デッキブラシでこすのは力がいるので、汗かきの私は水をかぶったようにびしょぬれになってしまいました。
 しかし、初めは警戒していたキリンは逃げなくなり、サマースクールでゾウに乗せてもらえたり、最後には、あまりに顔が大きく毛むくじゃらで、恐怖感を抱いていたバイソンまでが、可愛く見えてきました。興味深い話や就職についてもいろいろと教えていただいて、大変だったけれどとても楽しかったです。
 二週間目は、一週間目に比べて、楽しかったけれどそのかわり細かくて大変でした。熱帯鳥類館、夜行性動物館では、人なつこいオオオオハシや珍しい習性を見せてくれたハチドリ、ワライカワセミの鳴き声を生で聞き、ワシミミズクは動作が不思議で、アルマジロ、カワウソが可愛く印象的でした。
 しかし、ツチブタの臭いはもう殺されるかと思うほどきつく、目にしみて、息をするにも詰まって出来ないくらいでした。脱臭剤が切れていたのが原因でしたが、担当の人は平気だったので慣れているんだなと感心しました。  
 三週間目はフライング、ハ虫類館でした。フライングは、珍しい鳥を本当に間近に見られて種類も覚えられました。キジ舎ではアオカケイの鳴き声が変わっていてコンドルの生き餌の食べ方が興味深かったです。
 ハ虫類館の方では、少し恐かったヘビも何となく、かえって可愛かったり、生き餌の食べ方なども興味深かったです。何といっても珍しいヘビの共食いを見られたのはついていました。またオオアリクイなど一見おとなしそうなのが、実は危険な動物だったり、ハ虫類のデリケートさを教えてもらったりして面白かったです。
 今思えば、三週間はとても短く思えました。いろいろと教えていただき、とても勉強になりました。特に鳥関係が多くスケジュールに組まれていたのが、動物の中でも特に鳥が好きな私には嬉しかったです。解剖も三回も見ることができて、収穫が多い実習でした。思っていたのとは正反対に、皆さんがとても親切で、迷惑をかけても見捨てないでいてくれたのがとても嬉しかったです。本当にここに実習に来て良かったと思っています。本当に皆さん、三週間もの間、ありがとうございました。

(日本動物植物専門学院 相場 美夏)
 私は、この実習をやるにあたって、何のテーマも持たずにきてしまいました。それについては飼育係の方々に言われたし、自分でもとても後悔しています。しかし、動物たちのいろんなことや飼育係の仕事の大変さを知ることができ、この三週間はとても貴重な時間を送ることができました。
 第一週目は、夜行性動物館と熱帯鳥類館でした。ここは、動物たちがいる場を清掃するわけだから、自分はどう動物に接したらよいかとてもとまどいました。動物と目をあわせないようにして、決して動物たちの恐怖心や攻撃心をあおらないように、静かに手早く清掃するのには苦労しました。初めのうちは、いつ攻撃されるか恐くて、動物たちの目を気にしながらびくびく清掃していました。しかし、夜行性の動物たちは以外におとなしく、ツチブタの子やオオガラゴなどはよってきたりして、熱帯鳥類のオオオオハシも、やけになれなれしくて、とても可愛かったです。
 一番驚いたことはエサ作りで、飼育係の包丁さばきに感心し、動物達の栄養のバランスを考え、エサの種類がとても多いことでした。
 子供動物園で、最も印象に残ったのはオランウータンでした。飼育係の方がいなくなると、とたんに私にかみつこうとして、にくたらしいの一言でした。
 小型サル舎では、自分の知識のあさはかさのあまりとんでもない質問をしてしまったり、言葉使いを厳しく注意されてしまい、ふだんの生活がみごとに反映されてしまいました。
 そして一番の失敗はコモンマーモセットを逃してしまったことです。担当の方の指示も忘れて片手でカゴを開け、そのすき間から出てしまったのです。人工哺育だったので、すぐにつかまえられたものの、そうでなければ、開いていた窓から逃げていたかもしれません。
 その他、ダチョウのエサに青菜のヒモを入れてしまったり、マレーバクにかまれて驚いて逃げ回ったり、「すみませんでした」ではすまされない失敗ばかりして、担当の方にご迷惑ばかりかけてしまいました。
 動物園とは、野生動物を捕えて見せ物にしているのだから、ある意味ではとても残酷です。動物が生きていくために、生き餌をやるのはとてもつらかったです。しかし、その動物たちのために少しでも力になってあげたいという飼育係の方たちの一生懸命な姿が、とてもうらましく感じられました。
 今回の実習では、自分がどれほど甘い考えで飼育係になりたいと言っていたかわかりました。学生である間に、本を読んだりして、もっと動物について勉強してゆきたいと思います。
 お世話して下さった飼育係の方たち、足手まといにしかならなかった私を、親切にご指導して下さってほんとうにありがとうございました。
                           
(日本動物植物専門学院 高田 雅子)
 三週間、子供動物園、猛獣、サル舎、熱帯鳥類・夜行性動物館を実習させてもらいましたが、最初から最後まで反省させられる点が多かったです。
 実習の目的としては、飼育係の仕事の内容を知り、少しでも知識を盗み取ることでしたが、仕事を覚えて、慣れることに夢中で、質問の方がおろそかに終わってしまいました。
 子供動物園では、一番初めの日からオランウータンのリョウタにかまれ、リョウタ恐怖症になりました。飼育係の人がいなくなるのをみはからってかみついてくるのが、とても腹立だしく、顔を見てもにくらしいとしか感じることができませんでした。それでも何日かすると、扱い方に慣れてきてあまりかまれなくなったこともあって、かわいいと思えるようになりました。しかし、肝心のリョウタには嫌われたままで終わってしまい、中途半端な状態となってしまいました。子供動物園では、直接動物達と接しながら仕事ができて、とてもうれしかったです。
 二週間目は、猛獣、サル舎の実習でしたが、シュートで動物の出入りを行なうのが、思うようにいかず苦労しました。サル舎の掃除も大変でしたが、掃除の仕方は同じようなので、ある程度進んでやることができました。
 ここで注意されたことは、動物に声をかけるということでした。人間と動物とが仕切られている状態では、声の様子で判断し、重要な役割になるのに、恥かしさもあって無言で仕事をすることが多かったと思います。
 サル舎には六種類のサルがいましたが、改めてサルの行動について興味をそそられました。一度観察してみたい動物の一つです。
 最後の週は、熱帯鳥類館と夜行性動物館での実習でした。三週間目では、エサの作り方や掃除の仕方を覚えたので、そちらの方はスムーズに行なうことができましたが、動物達との接し方がわからず、ぎくしゃくしてしまいました。特に、夜行性動物館では、ほとんど名前も知らなかった動物も多くて、そんな動物に接することができ、とてもよかったと思いました。
 三週間はとても短く、反省する毎日だったような気がしますが、私を担当してくれた一人一人に、とても親切に指導してもらって、とても勉強になりました。
 学校では絶対に経験することができない実習ができました。教えられたことがたくさんありすぎて、全部頭に記憶されていないところもありますが、三週間やり終えることができたことをはげみに、希望どおりの就職ができるよう頑張りたいです。

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