でっきぶらし(News Paper)

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71号(1989年09月)11ページ

一九八九年繁殖動物を追う(?U)小型サル編【クロミミマーモセット(夫

 前記のコモンマーモセットと同種で、生息地域もかなり重なり合っているそうです。そのせいでしょうか、互いに強く意識して、ガラス越しによくにらみあっています。
 やって来たのは、昨年の七月。で、今年の四月に早くも出産です。が、その子は出産時にどこかで頭をぶつけたようで、あっさりあの世行き。でも、そうがっかりしませんでした。
 何たって、夫婦仲は抜群。今まで、ピグミーマーモセット夫婦の仲のよさに驚いていました。が、それに負けず劣らずです。
 ということは、次の子に恵まれる確率が非常に高いということ。それに初産の失敗は割合によく見られる傾向で、又そんな後も次の妊娠の確率を非常に高めます。
 ちょっぴり驚いたものがあるとするなら、次の出産が予想以上に早かったことです。四月一日に生まれたから、次は九月に入って間もなくだろうと思っていたら、八月二十九日にもう出産でした。
 ピグミーマーモセット、コモンマーモセットの人工哺育を繰り返していた時、その間隔は五ヶ月、日数にして百五十三日内外でした。クロミミマーモセットの場合は、それより短く、間は百五十日もありません。妊娠期間は、彼らより更に短いのかも…。
 さて育児。夫婦仲に比例しませんでした。世辞にも上手といい難い子育て、夫婦で放ったらかしなんて日常茶飯事。一ヶ月か一ヶ月半の間、毎日のように子を泣かせていました。
 もし、コモンマーモセットのケースがなければ、真剣に人工哺育を考えたでしょう。あのひどい父親でも子は十日間耐えた、俺も耐えた、これもとにかく見守ろう、とにかく親に面倒見させよう、の思いでした。
 そういう子は、たくましい。今ではすっかり力強くなり、親と同じようにしっかりバナナやブドウにパクついています。

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