でっきぶらし(News Paper)

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73号(1990年01月)9ページ

飼育係二十一年の思い出 

秋元錠一
 光陰矢の如し、まったくその通りで、掃除課民生課に十年。動物園に二十一年アッと言う間に三十一年という月日が過ぎ去ってしまった。一般市民に依る寄付、又児童等の一円募金に端を発し、昭和四十四年八月一日に開園となりました。日本平動物園は、自然の中、特に緑の美しさの中に誕生しました。この素晴らしい動物園に一飼育係として勤務出来ました事は、私の生涯忘れ得ぬ良き思い出として残るでしょう。
 私達飼育係は、開園に先立ち、多摩動物公園、浜松市動物園、東山動植物園の三ヶ所に、各々分かれて一ヶ月間、動物飼育の研修にいきました。多種多様の動物にじかに接し、餌を与え、獣舎の掃除、動物達の健康状態の見方等、いろいろ教えていただきました。研修期間が無事に終了し、習得した動物に対する一般的な知識を今後帰静した場合、いかに応用できるか一抹の不安はありました。
 帰静後の三ヶ月間は各園で得た飼育知識、全般的には動物園の在り方、つまり檻の構造、繁殖、人工哺育、飼料、動物の病気、馴致調教等の復習の毎日でした。
 いよいよ開園日、一ヶ月の研修がいかに活用できるか不安がありましたが、とにかく一生懸命やるだけでした。
 今回は特に印象に残ったラクダ及びチンパンジーの飼育について述べてみたいと思います。

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