でっきぶらし(News Paper)

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90号(1992年11月)10ページ

あらかると【実習を終えて】

 今回、私は幼い頃からずっと憧れていた動物園で“十二日間飼育係”になることができました。飼育係の方々のとてもよい雰囲気のおかげで前日までの不安も消え、楽しい楽しい実習が始まったのです。
 現実を知らずただただ「いいなぁ」と、“雲の上”というよりは“山の上こう”といった感じの世界でした。そんな訳で何もかもが新鮮であり、驚きであり、感動でした。
 その中には嬉しさがけでなく、現実を知るというショックなこともありました。私にとてもたくさんのことを教えてくれ学ばせてくれたのです。
 何でもやらなくてはいけません。やること全てが楽しいのですが、申し訳ない程遅くうまくゆかないのです。飼育係とは、ただ動物が好きで世話をするだけではいけないことが分かりました。できるならば男の人が欲しいというのも、当然のように身に染みて感じました。
 とても心に残っているのは、「動物を甘く見るな」です。類人猿舎の裏で見たゴリラは、私たちがふだん外から見ることのできないゴリラであり、聞いた話も想像以上でした。また、間近で見たゾウの目の恐さも強く脳裏に残っています。
 それに動物たちと担当の方との間には特別な空気があります。動物たちにやさしい声をかけ、とても楽しそうにいろいろ教えて下さったことが印象に残っています。
 仕事に生きがいを見い出している飼育係の方々をとても羨ましく思い、尊敬の念すら抱いてしまいます。
 大変お世話になりました。ありがとうございました。
(日本動物植物学院 川澄博子)

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