でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 90号の10ページへ90号の12ページへ »

90号(1992年11月)11ページ

動物病院だより

 一九九三年、皆さんどのようにおむかえになりましたか?
 昨年末の二ヶ月間をふり返ってみますと、まずは十一月十七日、ナマケモノの出産がありました。当園では初めての出産でした。午後一時過ぎ、出産していることろを発見。その後、子の後肢が弱いのか落下、直ちに床にワラを敷き、事故がおきないようにしたのですが、親の胸に子をつかまらせても、すぐに落ちてしまった為、とりあげて人工哺育することになりました・
 ナマケモノの乳成分は、わからず、文献を調べてみてもたった一つ、それもかなり古いものでした。とりあえず、犬用ミルクを使い、ゴム製の乳首を作り、ガラスの注射器で与えることにしました。
 最初はなかなか吸わず、流し込んでいる感じでしたが、一週間ほどして自分で吸う様子が見られ、体重も増加し、これでひと山越えたかと思った直後の十一月二十九日朝、死亡してしまいました。死因は、なんと食滞。ミルクがうまく消化していなかったのです。初めてやる人工哺育のむずかしさを新ためて感じた次第です。
 続いてはオオハナインコ。九月十九日に二羽ふ化したことはお知らせしましたネ。その後順調に大きくなって巣立ちのところまでゆきました。
 十二月四日朝、オスのヒナが放飼場の金網にとまっており、しばらくして羽ばたいたかと思ったら落下。その時、どうやら足をいためてしまっていたようです。その後、うまく立てなくなってしまい、メスのヒナも肢が弱い感じをうけたので、十二月七日、親鳥からヒナをとりあげ、予備室のケージに移すことにしました。
 オウムは、親の吐きもどしをヒナは食べており、この時点で自分で食べていけるまでにはいたっていなかったので、飼育係が親がわりになってカテーテルを使って、餌を与えるようにしました。
 その後、徐々に体重はふえ、メスの肢の力はついてきているようです。子供動物園にいますから御覧下さい。
 最後に一九九二年の終わり、つらいゝニュースがありました。一面、そして「あらかると」のところでもふれられましたように、チンパンジーのオス(ポコ)とメス(デイジー)が十二月二十六日あいついで死亡してしまいました。成獣三頭いたチンパンジーの放飼場に今は、メスのパンジーとその子供のピーチだけですから、やたら広く感じられます。気のせいかパンジーがさみしそうに思えてしまいます。とてもつらいです。
(八木智子)

« 90号の10ページへ90号の12ページへ »

一覧へ戻る

ページの先頭へ