でっきぶらし(News Paper)

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126号(1998年11月)6ページ

1998年をふりかえって◆トラのミナ 安らかに◆

 当園の歴史を語る中で忘れてはいけない動物として、トラのメス「カズ」がいます。彼女は初産こそ自分で育てられませんでしたが、その後は毎回2〜4頭の子供の面倒を良く見てくれ、全部で37頭育て上げてくれました。
 カズの37頭目に生まれた子が、今回お話ししたいメスの「ミナ」です。
 彼女は今から14年前の昭和59年10月に生まれました。カズが大事に育ててくれ、ミナは順調に大きくなりました。そして2才の時初めて出産が見られました。ところが、彼女落ち着きなく、子育ては失敗。
 彼女のお母さんのカズだって最初はダメだったけれど、次からは立派に育ててくれたんだもの、ミナだって・・・。そんな思いで見守っていましたが、結局3頭出産し、いずれも失敗に終わりました。
 そうこうして月日は経ち、平成9年11月に乳癌になり、手術を行ないました。入院中、大きな体で檻越しに甘えてくるミナをとても愛おしく思えました。
 2ヶ月後獣舎に戻り、見回りの時ミナが鼻をならして寄ってくる、そんな日々がしばらく続きました。
 2月に入り少しずつ餌を残すようになり、徐々に痩せが目立つようになっていったのです。
 そして2月23日にひっそりと息を引き取りました。これで名物母さんのカズの血統は途絶えてしまい、寂しい気持ちは拭えませんが、私たちの心の中にずっと生き続けてくれると思います。

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