でっきぶらし(News Paper)

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120号(1997年11月)6ページ

1997年をふりかえって【ワライカワセミ繁殖に成功】

 ワライカワセミは、オーストラリアに生息する鳥で、魚やヘビ、トカゲなどを採食しています。
 カワセミの仲間は縄張り意識が強く、繁殖期以外は単独で生活しています。その為、飼育する場合、同居させるのに非常に気をつけないといけません。相性の合わない相手であると、押さえつけてつつき殺してしまうことすらあり得るほどです。
 当園でも、15年ほど前から熱帯鳥類館でワライカワセミの飼育を始めたのですが、試行錯誤の連続でした。
 1回繁殖に成功したのですが、その直後オスがヒナを食べてしまうという事件が発生してしまいました。すると途端にメスが強くなり、オスを上から押さえつけ、つつきだしたのです。あわててオスとメスを分け、しばらく安静にさせることにしました。
 その後、同居させるいろいろな方法が試されました。まずは、オスを展示室で飼育し、縄張りを作らせておいてからメスを入れてみたのですが、すぐにメスが攻撃を仕掛けオスはタジタジ・・・
 それでは違った場所で、と思い病院に2羽を連れて来て一緒にしてみても、ものの30分くらいでまたまたケンカが始まってしまいました。
 そのため、この2羽でのペア作りはあきらめ、平成8年の3月に東山動物園より新たにオスを譲り受け、再度新しい2羽でのペア作りを図ることにしました。
 来園したオスはまだ1才と若いわりに図太くて、気が強いメスがちょっかいを出しにいっても動ぜず、同居も思いのほかうまくゆきました。そして昨年4月7日に産卵が見られ、5月6日と10日に1羽ずつ合計2羽のヒナが誕生しました。
 親鳥はせっせと小さなマウスやコオロギ、ドジョウを巣に運ぶ行動が見られ、ヒナも日増しに大きくなってゆきました。1羽目が孵化して4日後に2羽目が孵化しているので大きさに差が出て、果たして2羽とも無事に育ってくれるか心配でした。しかしそんな心配をよそに、親鳥は2羽にうまく分配して餌を与えてくれたのです。そして1ヶ月後、無事2羽とも巣立ちしてくれました。

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