でっきぶらし(News Paper)

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26号(1982年03月)3ページ

近況 〜キリンの出産とその後〜

(佐野一成)
昨年12月より、毎日曜日の昼間の観察と、1月10日より、寒い夜中の観察のおかげで、交尾した日から466日目の2月6日午前9時に破水し、9時45分前肢が見え始め、12時26分に1頭のキリンの生命が誕生しました。子供はオスでした。
母親の徳子は、生まれたばかりの我が子の顔面を、右前肢で唐ンつけ、次に後肢の方を唐ンつけました。私は危ないと思い、いそいでシャッターを開け、母親を放飼場に出し落ち着かせました。本当ならば、仔の体をなめ、ぬれている体を乾かす動作が見られるはずだが!失格ママのようです。
その後、仔は、何回となく立ち上がろうとしては倒れ、1時50分にふらつきながらも、どうにか立ち上がり、歩き出しました。
次に、授乳できるかが問題ですが、母親は仔に寄りそって行くどころか、仔が近づこうとすれば、逃げてしまうしまつで、仔に対し関心を示そうとしません。それでも、24時間は母親が授乳させる事を願って、同室にしておきましたが、仔が近づき乳をさがそうとしたら、2mぐらいけとばされてしまいました。仔は動かないので心配しましたが、大事にはいたらなく安心しました。
これでは、安心して母親にまかせておけないので、2月7日午前10時に、人工哺育に切り換える事にしました。キーパー通路に、急いで小屋を作り、仔と母親を分けました。
乳は、前日出産したばかりの牛(ホルスタイン種)の初乳をいただけましたので、与える事にしました。哺乳ビンと乳首は、人間用を使用しましたが、最初はじょうずに吸う事ができませんでした。それでも、どうにか570cc与える事に成功しました。
哺乳時間は、0時、8時、13時、17時の4回とし、よく飲むようになりました。いくら生まれたばかりの仔といっても、キリンですと、1m90cmぐらいの高さなので、哺乳するにもむずかしく、2人で与えています。一人が仔を押さえ、もう1人が乳首を両手で押さえて与えていますが、100ccが180ccと飲んでいくうち、キリンの方も舌をじょうずに使い、飲むようになりました。飲み方がじょうずになると、一気に飲んでしまうので、哺乳ビン(240cc)がまにあわなくなり、乳を入れる人が必要になってきました。
2月17日に1回2400cc、1日に9600ccの牛乳を飲んでいます。
これからも、哺乳が順調にいき、成長する事を願うばかりです。
最後に名前は“一樹”と付けました。よろしく!

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