でっきぶらし(News Paper)

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26号(1982年04月)5ページ

野鳥 〜サギ類の異変〜

(渡辺明夫)
1号に紹介した「池に集まる野鳥」で、園内の池には、越冬、休息、集団繁殖等の為、9種800羽のサギ類が生息している事を話しましたが、ここにきて変化が起きました。
2月6日、キリンが誕生し、出産後の夜間観察の為、来園してみますと、池のまわりの樹木に鈴なりのように、コサギがいるはずなのに、当夜は全く姿が見えないのです。1羽残らず消えてしまったのです。
その話を翌朝聞いた私は、とても信じられませんでした。はたして、コサギに何が起きたのだろう。池の周囲の環境に、急激な変化やネグラを離れなければならない事態があったのだろうか?
すぐ池にとんで見に行きましたが、まったく話のとおりで、1羽もおりません。原因となる事がわかるかと思い、一応竹林に入ってみました。ところが、ゴイサギの姿も見えません。日中、竹林や雑木林の中で、あれほど多くのゴイサギが、羽根を休めていたのが、見当たりません。これは大変な事になったと思いましたが、原因は見つかりませんでした。
昨年は、静岡県下で初めてのアオサギの繁殖が確認され、喜んでいたのに何ということか!
環境の変化といえば、3〜4年前から池田山自然公園として、アスレチックが作られ、人の出入りが多くなってきました。この場所は、上の池が見下ろせるところにあり、そこから裏山にかけて遊歩道が作られ、だいぶ整備されてきました。思い当たるといえば、その事ぐらいですが、冬の時期でそれほどお客が多数見えることも少なく、又工事が始まった3〜4年前から少なくなってきたのならわかりますが・・・。
振り返ってみますと、いつごろからサギ類がいなくなったのだろうか!確か1月中旬頃は見た記憶がありますが。そうすると何の前ぶれもなく、1月中旬から2月上旬にかけて、1羽もいなくなったことになります。
どのような事情、環境の変化によって、このようなことが起きたのだろうか。あるいは生態学、行動学の面から見て、数年に1度は、ネグラやコロニー(集団繁殖地)を変えることがあるかも知れません。それとも、もっと単純なところに原因があるかも知れません。我々には解らない原因によって移動したと思いたいのですが、他に適当なネグラや休息場所がそんなにあるとは思われません。
これから、もっといろいろな方面から調査し、サギ類がどこに行ってしまったのか、調べたいと思います。
再び、動物園の池にもどってくることを願ってやみません。

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