でっきぶらし(News Paper)

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150号(2002年11月)9ページ

病院だより  海野隆至

動物病院の年末年始

 毎年のことながら一年の締めくくりと称する年末そして大晦日を動物園でも迎えようとしています。入り口ゲートには職員手作りの大門松が飾られ2003年を迎えようと準備は着々と進められています。大掃除も終え各セクションは新年のお客さんを迎える準備は順調。そんな中動物病院だけはそうは問屋が卸してくれません。毎年の事ですが病気療養中の各動物(患者)たちが新年をせめて自分たちの獣舎(マイホーム)で過ごせるようにと、病院スタッフ一同懸命な看病が日々続けられています。とは言っても、動物種(ツバメなど)によっては病院内で年を越さなければならない仲間もいますが、患者と一心一体となりスタッフのケアーは終わりなく続けられています。そんな苦労が報われているのか、毎年暮れには十数羽の鳥たち、二〜三頭のほ乳類のみが新年を病院で迎えます。

 ところが2002年の暮れ12月15日夕刻2〜3日前から食欲がないヒョウのオス、ヒョウ太が食欲廃絶、動作緩慢、おまけに体の震えも来てしまい、そんな姿を視診した私の口から出た言葉は「これは今すぐ捕獲し入院させた方ほうがいい! 」私は直ちに麻酔の準備、そして担当職員は捕獲の道具の準備をするが、周りはもう薄暗く車のライトを点灯しなければならないほどでした。ヒョウは無事捕獲、病院に入院。やれやれと思うのもつかの間、一週間も経たない12月21日にはマンドリルのオスが同じ様な症状で入院。また12月中旬に来園したエリマキキツネザル2頭、フェネック、ミーアキャット、熱帯鳥類十数羽たちの検疫で病院は一杯なのに、「これ以上患者が増えたら部屋がないよ〜」とぼやきながらも、慌ただしかった暮れも何とか過ぎ、無事新年を迎えることが出来ました。ところがところが、新年早々1月4日新年一番の患者が入院してきました。シンリンオオカミのガブさん、日中運動場で痙攣発作を起こし緊急に寝室に収容したが、痙攣は収まらず、麻酔を掛けないで捕獲網だけで緊急入院。やれやれの一週間後、ダイアナモンキーのオスが糖尿病の疑いで緊急入院。新年早々病院は患者で只今満員御礼です。

 今年も新年早々前途多難です、頑張らなきゃ!!。ちなみに病院スタッフの懸命な看病の甲斐あり全員順調に快復に向かっており、温かくなる頃には全員退院できそうです。追伸、ヒョウ太は入院数日後、温かい床と空調の効いた部屋を待ちかねていたようで元気百倍(ちなみにこの患者はここ数年毎年のように暮れは病院で過ごしています、歳には勝てないようですね。)

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