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31号(1983年01月)4ページ

中国西安市動物贈呈団来静随行記 (その2) 〜動物贈呈式と施設見学〜

(安蔵忠夫)
中国の第1級動物であるレッサーパンダのメスと、予期していなかったベンガルヤマネコ1番は、贈呈団より先に動物病院に収容され、検疫と健康診断を受けました。
張光宇団長を含む動物贈呈団3名は、10月8日〜14日まで関西地区の視察を終え、15日に来静しました。静岡駅には河合助役が出迎え張団長と固い握手と、簡単なあいさつをかわし、直ちにホテルに向かいました。
ひと休みしてから、市長の表敬訪問のため市役所を訪れ、職員多数の熱烈歓迎の拍手されている中を荻野市長、織田議長が待つ公室庁に向かいました。市関係職員並びに報道関係者の見守る中で、市長の歓迎と団長の表敬のあいさつがかわされ、両国市民がより一層の相互理解と友好親善に努力することが確認されました。張団長より、動物の目録贈呈があり、市長は市民を代表してお礼をのべ、記念品を渡し表敬訪問を終えました。
15日の第1施設見学は、昭和57年4月に完成された森林センターです。施設の目的は、森林事業の後継者の研修の場であり、一般市民に対し森林事業のもつ大切な役割についての、啓蒙普及の為の施設として、建設されたと説明がありました。1階の展示室には多くの機械、器具が展示されており、張団長が関心を示されたのは下刈り機で、その操作方法等を質問されていました。自力更生で近代化を図っている彼らにとって、外国の進んだ機械技術には大いに興味のあることを感じました。
16日には、今回の主目的である動物園に、ご案内しました。8時45分に入口に着くと、園職員の盛大な拍手による歓迎を受け、事務所2階において記念品贈呈が相互で行なわれ、その後、私が園の概要を説明しました。そして、動物贈呈式をレッサーパンダ舎で行い、テープカットなどを団員の皆様方といっしょに行ないました。この席上、贈られたレッサーパンダの名前をユイユイ(渝渝)と命名してもらいました。担当者が与えたリンゴをおいしそうに、2頭が仲良く食べている姿を見て、関係者の胸をほっとさせてくれました。式典終了後は、リフトに乗り爬虫類館に行き、富士山、市街地などを見ましたが、風景の美しさにみとれていました。その後、園内を見学し、そのつど動物などの説明をし、なごやかに過ごしました。胡団員には、植物の案内者を付け、呂団員は動物担当ですので質問もよく出されました。ゴリラを抱くなどして楽しく見学を終え、正門前にて関係職員全員による記念撮影をし、園を後にしました。
午後は、団長の希望で森下公園を視察し、公園課職員による市の公園事業の概要が説明され、公園のイチョウ、ケヤキなど植樹並びに公園管理について、関係職員と熱心な意見の交換がされました。
次に、小坂地区に向い、ミカン栽培専業農家を訪れました。ここでは、日本農業の実状とミカン栽培について説明を受けました。団員の皆さんは、大変熱心に栽培方などを聞いて、特に摘果後のモノレール運搬機に注目され、また新種改良についても、農家の方と意見がかわされていました。帰りに、地区共同選果場の選別、計量、箱詰出荷の全自動化を興味深くみていられました。
次は、焼津港に案内しました。この港は、日本一の漁港として世界的にも有名ですと、関係職員から説明され見学しました。西安市は内陸の為、団員の皆さんは大変よろこばれ、カモメの飛ぶ海をバックに記念写真をとっていました。
今日の最後の訪問先は、市営高層住宅です。生活様式の探訪を目的として、諏訪宅を訪れたところ、気持ち良く迎えてくれました。居間、台所、便所、浴室などを団員の方々が、ゆっくりと見られていましたが、どのように感じたか興味のあるところです。中国の住宅も最近では、高層住宅が北京などで建設されていますが、大部分はまだ土とレンガ作りの住居です。
17日には、完成間近な最新式の西ヶ谷清掃工場を視察しました。関係者から説明を受けてから施設の案内をしてもらい、中央制御室、ゴミピットとクレーン作業、焼却炉などを見られ、驚きの声が団員から聞かれました。又、余熱利用で自家発電や将来地域の温水プールなどの計画を説明されると、張団長が、中国ではこのような立派な施設はなく、ゴミは各人が処理をしていると話されました。
次は、鯨ヶ池の老人福祉センターに案内しました。施設の概要を説明され、館内利用者の婦人より団員の方々に手作りのワラジが贈呈されました。その後、団長と利用者との間で日中親善卓球を行ったり、一緒に映画を見たり、楽しいひとときをすごしました。帰りの車中で、老人センターは養老院かとの質問に対し、この施設は老人達の為の健康増進と教養の向上を図るためのもので、誰でも利用できるのですと説明すると、驚いて中国でもぜひ作りたいものだと話されていました。
次に、来静最後の訪問先である清水の東海大学海洋科学博物館に案内しました。西課長さんが出迎え、案内してくれました。美しい魚を多く見られ、また大水槽のハマチ、エイなどを間近に見て非常に喜んでいました。飼育の裏話や、展示魚類の説明を受けたり、館内の貴重な本の贈呈を受けました。
長いようで短い静岡市での3日間の旅が終わりました。もっともっと、いろいろな所を見て静岡市を知ってもらおうと思いましたが、時間の関係で主要最少限度の視察となりました。
各々の見学施設の皆さん、ありがとうございました。次回は、東京で過ごした事を報告します。(つづく)

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