でっきぶらし(News Paper)

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100号(1994年07月)17ページ

動物園こぼればなし 〜 は虫類のあれこれ 〜

 来園したばかりのヘビやトカゲは気も荒く警戒心も強くて、なかなか餌も食べてくれません。それでも日が経つにつれ餌を食べるようになり、警戒心も薄らいできます。
 特にヘビは適当に餌を与えられ脱皮を繰り返し成長して行くので、自分で餌を探す必要もなく、運動量も少なく脂肪も乗り太ってきます。
人に馴れてしまったヘビは全く無警戒になり、体を触られても、体にくいこんだダニをピンセットで引きぬいても悠然としています。
 特に馴れきった「ビルマニシキヘビ」ごときは、舌を指でつまんで引っ張られても怒りもせず、次回からは多少警戒するのかなかなか舌を出そうとしません。
 野生を失ったヘビには信じられない事も起こりました。
 ボアコンストリクターは餌を飲み込んだとたんに顎がはずれた様になり獣医と苦労して元に戻したこともありました。
 またV状になった木に長い間動かずに乗っていた為にはまりこんで動けず、Vになった木をノコギリで切ってはずしたヘビも何匹かいる始末です。
 ヘビがヘビなら担当者も同じ、獣舎の扉を開け、のぞき込んでいるとき鼻先をなめられたり、頬にキスされて気がつくと目の前にぶらさがっているヘビに気がつくお粗末さ。
 ある日、展示のワニガメの水が茶色になっているのに気付き、中を覗くと隣の水槽のスッポンが入り込み、ワニガメに全身をかまれ傷だらけ、濁った水はスッポンの血液だったのでした。
 助けだされたスッポンは目もうつろ、駄目かと思ったのに3日後には採食、この回復力の素晴らしさはスッポンの生き血を飲んだ為かもしれません。
(後藤昭)

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