でっきぶらし(News Paper)

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132号(1999年11月)16ページ

病院だより

「だってしょうがないじゃない
        ?型なんだもん」

君の血液型・・?型だろう!融通が利かず偏屈だからナ、思いやりもないしナ!
おまえこそ・・?型だろう、神経質だもんな。おれ、おまえといると胃潰瘍になっちまうぜ!ところで彼奴は・・・・この辺にしておこう。
私たちは、他人の性格を往々にして血液型で判断することが多い。これが結構当たっているから不思議なものであり、日常重宝している。 

ところでどんな人が、蚊に刺されやすいかどうかは、蚊にいかに好かれているかが重要な点である。その個人差には幾つかの要因がある。血液型もその一つあり、血液型による性格の違いは信頼性が高いと思う。

こんな実験結果がある。
ハマダラカの一種をA,B,O,AB型のグループに分け蚊を放したところO型の人が一番攻撃された。更に吸った蚊の血液型を調べてもO型が一番多かった。血液型は汗にも含まれていることから、蚊は吸血前に血液型を判断したのだろう。蚊はO型が好きなのだろうか?

私は、幼少の頃から現在に至るまでとても蚊に好かれてきた。隣の人よりも好んで私の血を吸いにくる、ちなみに私はA型なのに何故かな。 

蚊が吸血源の生き物を発見する手がかりとして、まず化学物質による誘引が上げられる。その一つが呼吸(吐息)により放出される二酸化炭素である。二酸化炭素以外の物質としては、乳酸がある。乳酸は人の筋肉で糖から作られ、汗とともに皮膚の表面に分泌される。誘引された蚊の吸血を刺激する物質としては、赤血球に含まれるアデニル酸や、アデノシン三リン酸などがよく知られている。また、女性では、ホルモンの分泌周期により刺されやすい日とそうでない日が巡ってくる。

 これらの物質を感知する器官は、主に触覚上にある感覚子であり、メスの触覚先端にある感覚子は温度受容器で人の体温を感ずる。かくもヘビのようなやつである。
そこで「酒を飲むと蚊に刺されやすい」のは、飲酒による体温上昇により、二酸化炭素の放出量が増えて蚊を誘引するためである。

なるほど、私に蚊が好意を抱き群がるのはそのためであったか! 納得

 最近「新興・再興感染症」という言葉を時々耳にするが、蚊の吸血により致命症を及ぼす疾病として以前は「マラリア」が代表的であり恐れられていたが、現在ではそれ以外に「デング熱・デング出血 熱」なるものが、その勢力を伸ばし驚異をもたらしている。

マラリアとは!
 ハマダラカの刺咬により生ずる熱性疾患で、熱帯や亜熱帯に多く発生している。脳症、腎症肺浮腫などの重篤で致死的な合併症を生じやすい。
観光旅行、企業活動、技術援助などでアフリカ、インドシナ半島、大洋州、南アメリカなどで、熱帯熱マラリアに感染する人が多い。
予防は、 日没後の外出を控える。
皮膚を露出しない。
防虫スプレー塗布。
蚊取り線香などの使用。

デング熱・デング出血熱とは!
 マラリアと同様な地域に多く、東南アジアで は小児の入院・死亡の第一の原因となっています。エイズと並んで世界で最も重要な感染症の一つである。発症は、デングウィルスを媒介する熱帯シマカ(黄熱病の媒介蚊でもある)による刺咬によります。戦時中日本での流行はヒトスジシマカによるもので、この蚊は今も存在しています。

 最近では環境汚染もこれに拍車をかけています。空きビン、空き缶、古タイヤ等に出来る水たまり、これに蚊が卵を産み落とし繁殖してしまうのです。一九八一年〜一九九五年までにWHOの報告のあった患者数だけで六五〇万人に上がっています。死亡率は4%〜20%と高い致死率です。

これから熱帯諸国に出掛けられる方、数?とも蚊除けスプレー等のご持参をお勧めします。

 (海野隆至)

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