163号(2005年01月)8ページ
病院だより クシャミ鼻水花粉症
今年の春、皆さんの目や鼻は大丈夫でしたか?去年の何十倍もの量が話題になったといえば・・・そう、今回は今流行りの花粉症のお話です。
花粉症は植物の花粉によって起こるアレルギー性の病気です。特定の花粉がアレルゲン(アレルギーを起こす要因)となって、花粉が飛散する時期にクシャミ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、涙、のどの痛みなどの症状を起こします。花粉と言っても、スギやブタクサなど種類は様々。
花粉だけでなく、「ダニとスギ」など原因が混ざり合うことも多いです。普段花粉を吸っていると、体内に花粉症を起こす抗体が徐々につくられていき、それが限界を超えるとある日突然アレルギー症状を起こします。
つまり、アレルギー性疾患とは、自分の身体を守るべき免疫力が異常に働きすぎた結果引き起こされるものなのです。アレルギー症状で悩んでいる人は、日本人の約1/3と言われています。アレルゲンとなるものには、食物やホコリ、昆虫、動物などがあり、現代の生活環境の変化とともにアレルゲンは増えてきました。
今年猛威をふるっているスギ花粉、このスギ花粉症患者は日本では昭和30年代に初めて報告されて以来年々増加傾向にあり、現在国民の10数%と言われています。
「今年はそんなにひどくなくて良かった」、「いやあ今年はきついなあ」などと、人によって症状に違いがありますよね。同じ人でも、年によって違いがあります。これは、花粉の飛散量以外に個人の体調や体質が関係しているからです。
睡眠不足や偏った食生活、ストレス、疲労、運動不足など、日常生活が不摂生だと病気に対する身体の抵抗力も落ちるのです。また、冬に風邪をひくことで呼吸器がダメージを受けると、鼻や目の粘膜に充分な防衛壁を作れず春の花粉症の悪化につながります。
さて、人以外の動物では、花粉症はあるのでしょうか?野生動物で知られているのは、ニホンザルのスギ花粉症です。サルは人と同様に、花粉に対するアレルギー反応が鼻や目の粘膜に表れます。
そのため、クシャミや鼻水などの鼻炎や、目がかゆいといった結膜炎症状を引き起こします。ペットの犬や猫にも花粉症があります。この場合は、身体がかゆいといった皮膚炎を起こすことが多いです。
では、動物園の動物はというと・・・先日の朝、中型サル舎の前でニホンザルを見ていると、オスのタロウくんが何度も目をこすっていました。私もちょうど鼻がムズムズしている時だったので、「もしや花粉症?」と思いましたが、本当にそうかは検査しないと確定できません。近づいてきた春の陽気に誘われて、ただ眠かっただけかもしれませんしね・・・(笑)。
(野村 愛)