171号(2006年08月)1ページ
次世代に命をつなぐ 「ツクシガモ編」
ツクシガモという珍しいカモが、今年5羽無事に孵化し順調に成育しています。ツクシガモは白黒に茶色の胸帯のある美しい鳥で、足はピンク、くちばしは赤色をした渡りガモです。日本では冬に九州筑紫地方に多く見られることからこの名がつきました。
動物園ではフライングケージという大きな鳥ケージで飼育していますが、15年前ぐらいから繁殖が滞ってしまいました。その大きな原因は、個体の高齢化による産卵数の減少や毎年のようにアオダイショウが巣箱に進入し卵やヒナがいつの間にか捕食されてしまうからです。ヘビが悠然ととぐろを巻いて居住していたことも度々確認され羽数は次第に減少し、現在フライングケージには5羽のみとなり、且つ繁殖可能な個体は1ペアのみとなってしまいました。
繁殖が順調な年にはシーズン中20羽近くの繁殖があり、フライングケージだけで飼育することが難しくなり、園内の下の水禽池にも放鳥したり、他の動物園に搬出していたこともありました。
しかし、このままでは貴重な種が絶えてしまう恐れがあるため、今年は担当者が産卵後すぐに孵卵器に入れ、人工的に孵化させる方策に切り替えたところ、5月〜6月にかけ5羽のヒナが無事孵化しました。そして孵化したヒナがしっかり餌付くようにと同時期に孵化したニワトリのヒナと同居させた甲斐もあり、今では水浴が出来る程の大きさに成長しています。フライングケージへのお披露目は秋頃を予定しています。