でっきぶらし(News Paper)

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49号(1986年01月)3ページ

動物の食べ物(第一回)・フラミンゴ

★フラミンゴ

 ベニイロ、チリー、コガタと三種類のフラミンゴが雑居飼育されています。脚が細長くて一見きゃしゃな感じがしますが、実際は想像以上に丈夫な鳥類です。開館以来か、開園してから間もなく来園した個体がほとんどなのに、病気になった、死んだとの話は滅多に聞きません。
 さて、餌、フラミンゴ用のペレット、魚粉や大豆の油カスにビタミンやミネラルを添加して固めた飼料を中心に、ニンジン、アオナをミキサーで泥状にしたもの、更にアオノリやオキアミをプラスして、ていねいに混ぜられたものが彼らのメニューです。
 朝一番、それらを二ヶ所にあるバットに入れてやると、彼等はいっせいに群がってきます。無心に食べる仕草を見ていると、くちばしや脚が実にうまく水辺の生活に適しているのが分かります。
 ふだんの何気ない仕草にも、それがうかがえます。浅瀬のところで、足唐ンしてゴミのようなものが浮かび上がってくると、それを”くの字”に曲がったくちばしで上手に拾い上げ、下を向いたままうがいをする感じで必要なものだけを食べ、要らないものは出してしまいます。
 野生では、毎日毎日そのようにして水辺の小魚や虫、あるいは藻や苔を食べているのでしょう。
 ところで、ひなは何を食べているか御存知ですか。鳥ですから、まさか乳が出よう筈もありません。過去にチリーフラミンゴが三羽、ヘニイロフラミンゴが四羽ふ化していますので、その時の見聞をお話しましょう。
 ひな達は、親が食べた物を吐き戻してもらって、それを食べて(飲むと言うほうが適切かも)いるのです。それは真赤なミルクのようですらあります。胃液が混じり、半分以上消化されているのですから、実にうまく工夫されたひなの食べ物です。
 ベニイロフラミンゴは相当に赤味を帯び、チリーフラミンゴも淡いピンク色をなしている中で、くすんだ色のフラミンゴが何羽かいます。色鮮やかにならないと繁殖しないと言われ、カロチンの高い餌、アオノリやニンジン等を与えながらです。
 それは子育てに奮戦した後の親の姿。理由、原因と言ったほうがいいでしょうか。それは”赤いミルク”にありそうです。せっせとひなに餌を与えている内、淡いくすんだ色になってしまいました。色が戻らない内に更に育すうを重ねる個体は、ベニイロならぬハクショクフラミンゴになってしまいます。
 そんな親の苦労も知らず、子とは勝手なものと思わせられたのは、ふ化してから五ヶ月も経ってなお”赤いミルク”をねだっている時。充分に自力で食べる力を持ちながら、甘えてしつっこく親を追い回すのです。根負けして与えている姿にはちょっぴり哀れさとおかしさが…。

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