でっきぶらし(News Paper)

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186号(2009年02月)5ページ

みどころ満載!ブラッザグエノン家族

動物園の入口から入って、フラミンゴやキジの前を過ぎると、大きさが中くらいのサルの仲間に出会えます。

ここ池田のモンキーアパートには、5種のオナガザルが暮らしています。ここにくると多くの人が、「ほらほら、なんとかちゃんの仲間がいるよ」と会話が弾むようです。私たちと同じ霊長類の仲間なので、特に親近感がわいてきますよね。

「あ、サルだぁ〜!」という声もよく聞きますが、せっかく5種類も違うサルがいるので、飼育係としては「○○サル」まで覚えていただきたいな、と思う今日この頃。

今回はその中でもブラッザグエノンに注目。顔に劣らないユニークな行動についてご紹介したいと思います。

ブラッザグエノンは、野生ではアフリカの中央部の沼地の林に暮らしています。おでこにあるオレンジ色の扇形の模様と、あごに生えた白く長いひげが特徴的で、「水戸黄門」に例えられる個性的な顔つきをしています。

ちなみに、名前の由来はイタリアの探検家サボルニアン・ド・ブラッザにちなみ、グエノンは「かわいい男の子」という意味があるそうです。
 
さて、当園のブラッザグエノンは6頭のにぎやか家族です。オスのヘイジとメスのレッシー、マール姉妹、レッシーの子供の3兄弟、ノン、ノンキー、ポッケです。

昨年の7月20日にレッシーに3番目の子供「ポッケ」が生まれました。日々成長ぶりに目を見張るこのポッケ、「あ〜、赤ちゃんがいる。かわいいね〜!」と大人気です。赤ちゃんと言っても、生後半年を過ぎた今ではお母さんから離れて遊びまわることもしばしば。

高い所に上っては、離れたところへジャーンプ!とにかく元気いっぱいです。よく見ていると、移動するときにお母さんや他の家族の頭や肩を踏み台にして飛び移ることが多いんですよ。

小さな子供とはいえ、子供が頭の上にどーんと降りてきたらそれなりの衝撃があるでしょうが、大人たちは誰もしかるどころか平気な顔。そんな様子を見ていると、子供が家族の中で守られてのびのび成長しているんだなぁと感じます。

このブラッザグエノン、夕方3時半から4時くらいに外の部屋から室内の寝室へ戻るときに、長さ2mくらいの通路を通るのですが、毎日通っている道なのに、なぜかいつも用心深〜く通るのです。

最初にお父さんのヘイジと、群れの中ではちょっと力が弱いマールが入ってきます。通路をすーっと通るかと思いきや、途中で立ち止まります。通路の壁をいじってみたり、なめたり。

そうしているうちに、ノンとノンキーがその間を走ってくぐり抜けたり、二足歩行しながら(!)何かをうかがうかのようにちょこちょこと歩いてきて立ち止まったり。

皆がじわじわと室内に入りかけてくると、最後に子供を連れたお母さんのレッシーです。皆に先に行ってもらって、室内が大丈夫なことを確認するのでしょうか、用心深く最後まで通路の入口で中の様子を観察してから、一気に飛び込んで入ります。

寝室には夕ご飯が準備してあるので、他のサルたちは走って入ってくるのですが、ブラッザグエノンの家族だけはこんな感じです。ちょうどその時に見ていた来園者の方にも、何度か「部屋に何かあるんですか?」と聞かれたことがあるほどです。そして、たいてい「グッグッ」とか「モー」と何かを話しながら通っていきます。

「キキッ」という警戒の声とは違った少し落ち着いた声です。「今日も部屋の中は大丈夫かな?」と言っているのでしょうか、それとも「ご飯の準備はしっかりできている?」とこちらにはっぱをかけているのでしょうか。いつかブラッザ語が話せるようになったら、どうしてそんなに用心深いのか聞いてみたいです。

そんなブラッザグエノンの他にも、ニホンザルやアビシニアコロブス、マンドリルとシシオザルたちが皆さんを待っています。是非会いに来て下さいね。
(松下 愛)

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