でっきぶらし(News Paper)

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189号(2009年08月)2ページ

微妙な親子関係

日本平動物園には、現在オス1頭、メス4頭の計5頭のチンパンジーが生活しています。その中で、唯一親子として生活しているのが、母親のコニー18歳、娘のれんげ7歳です。

コニーとれんげを人間の年齢に例えるとしたら、コニーは女性として一番魅力的な30代、れんげは、ちょうど思春期に入り、少し反抗的な態度が目立つようになる10代半ばといったところでしょうか。
 
確かに最近の2人の関係をよく観察していると、コニーがれんげに手を焼いている姿をよく見かけます。コニーは熊本にある施設から13年前にもう1頭のメスのヨシミと静岡にやってきました。

その時から性格がやさしいというか、少し弱いところが見られ気持ちが不安定になると、ヨシミの背後に回り、腰の辺りを両手で抱え込み、自分の体を左右に振り子のように揺すって不安な気持ちを落ち着かせているような態度を見せていました。

母親となった現在でも、何か不安な事や仲間とのトラブルなどがあると、今度は同じ事をれんげに向かってするようになってしまいました。

親子だから、その不安な気持ちを共有して少しでも落ち着かせようとしているのかもしれませんが、れんげにとっては甚だ迷惑なことかもしれません。まだ自由に遊んだり、イタズラをしたいのに、コニーにがっつりと抱え込まれ自由が利かなくなってはもうどうにもなりません。

れんげの気持ちを察すれば、「私のお母さんでしょ。もっとしっかりしてよね。」って言ったところでしょうか。
 
れんげもそろそろ親離れをして、魅力的な女性としての成長段階にあります。でも、お母さんが、「あなたはまだ私のそばにいてくれないと困る。」とせがんでいるのかもしれません。この微妙な親子関係がいつまで続くのかちょっと心配です。
(佐野 彰彦)

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