でっきぶらし(News Paper)

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191号(2009年12月)2ページ

フラミンゴのヒナ二十年ぶりに出現する!

世の中には、予期していないことが突然現実になることがあります。

今回のフラミンゴ産卵、孵化騒動(?)がそうでした。実は当園では過去20年間フラミンゴが産卵していません。

現在飼育しているフラミンゴは三種。ベニイロフラミンゴ、チリフラミンゴ、子フラミンゴですが20年前産卵がストップしてしまいました。フラミンゴの仲間は一度産卵がストップしてしまうと、なかなか元通り産卵するようにはなりません。ずっとフラミンゴの卵を見ることがなく、なんとなくそれが自然なことのような感じになっていました。

実際、園内のフラミンゴは高齢の個体が多く、人間で言えば百歳以上のものがゾロゾロいます。今年は動物園開園40周年ですが、開園当時から今日まで園内で生活している動物はフラミンゴの数羽とアジアゾウのダンボだけ。昨年は長寿動物に選ばれ表彰もされました。その点から考えても産卵がみられなくなってきても、「まぁ、仕方がないかな」みたいな空気があったことは確かでした。
それが、今年の8月から・・

突然、1羽で暮らすコフラミンゴを除くベニイロフラミンゴとチリフラミンゴが卵を産み始めたのです。これまでにベニイロフラミンゴは1個、チリフラミンゴは6個の産卵がありました。うち、6個は惜しくも無性卵だったり、抱卵途中で割れてしまったり、せっかく孵化したにも関わらず1羽のヒナは直後に死亡してしまいました。

7個の卵のうち、1個だけめでたく10月14日に孵化し、目覚ましい成長をしています。毎日毎朝、見るたびにずんずん大きくなり、孵化直後は親の足元で踏みつぶされてもわからないような小ささだったのが、孵化1ヶ月後で背丈が親の足の長さ分までになりました。ホヤホヤのうすいグレーの羽毛に細いピンクの足と小さくとがった嘴が、濃いグレーに黒く太い足と曲がり始めた嘴に変わっていきます。このまま順調に育ってくれることを願ってやみません。グレーの体がどのようにピンクに変化していくのか楽しみです。

冒頭の通り、予期していないことが現実になりました。本当のところ、なぜ20年ぶりに産卵を始めたのかほとんどわからないのです。私がフラミンゴを担当してからまだ二年目ということもありますが、何をどう調べてもその確たる理由が判明しません。飼育方法を目立って変えたわけでもなく、天候を含む日照時間も例年と大差なく。突然、今の状態に突入してしまったのでした。

ですから、ヒナが育っている現在も「何だろう?何だろう?」とブツブツ言いながら飼育を行っている次第です。

う〜ん・・・毎日が更なる勉強の日々です。
(長谷川 裕)

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