でっきぶらし(News Paper)

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193号(2010年04月)1ページ

猛獣館オープン

3月20日から4月25日まで春の動物園まつりが開かれました。期間中は「ゾウにおやつのプレゼント」、「サイさんさわらせてください」などいろいろなイベントが催されましたが、「ペンギンに魚のプレゼント」はフンボルトペンギンの多くの巣で卵を抱いているのが確認されていたため残念ながら中止でした。

さて春の動物園祭りの期間中には皆さんが心待ちにしていたメーンイベントがありました。

3月29日にいよいよ猛獣館299がオープンしたのです。

いまごろは大勢の方々が来館されていることと思います。来館した人たちは新しい施設の中でいままでにない、動物たちが躍動する姿をご覧になっていることでしょう。

猛獣館299はその建設にあたって、日本平動物園内の地形に沿うように飼育施設を配置して動物たちの生息環境を再現し、動物たちの迫力ある姿を間近に観察できるようつくられています。また現在、野生の動物たちが置かれている地球環境の問題を勉強できるよう、映像の情報展示にも工夫が凝らされています。

動物展示施設は立体的に観察できるよう複数階にかけて作られていますので、動物たちをいろいろな方向から見ることができます。特にホッキョクグマのプールには水中トンネルがあって人気者ロッシーの泳ぐ姿を真下から見ることができます。めったに見られないホッキョクグマの足の裏はどうなっているか、ホッキョクグマは水中でどんな動きを見せてくれるかなどを観察できる絶好のチャンスです。

それでは、この新施設の入居者たちをご紹介しましょう。

猛獣館299の1階には、人気者ホッキョクグマのロッシー、そしてそのとなりのプールにはゴマフアザラシのソウヤとシズのペアが入りました。

2階にはアムールトラのトシとナナ、ライオンのキング、マッチとムール、それに6頭のミーアキャット。屋外の鳥舎にはシロフクロウのペアが移ってきました。

そして3階にはジャガーのアラシとキコ、ピューマのリンカーンとエリザベスたちが入居しました。

これら、猛獣館299の入居者うちメスライオンのマッチとムールは、富士サファリパークから3月3日に新しく来園しました。オスライオンのキングは昨年1月に連れ合いだったメスライオンのエンジェルを亡くしてから独り身生活で少し寂しそうでしたが、あたらしく2頭のメスライオンをむかえて元気を取り戻した様子です。

また、アムールトラのトシとナナは猛獣館の建設中、よその動物園に預ってもらっていたのですが、2月18日に日本平動物園に帰ってきました。

3月中、その他の動物たちもいままでの園内展示施設から順次猛獣館へ引っ越しをしました。新居になれるまでしばらく時間が必要なので引っ越しからオープンまで少し日にちが必要です。3月中は猛獣館に引っ越した動物たちの姿がみられなくなってしまって来園の皆さんにはさびしい思いをさせてしまったと思います。

猛獣館オープン後は屋内の通路を巡って生息環境を再現した展示施設をゆうゆうと歩くライオンやトラの勇姿をガラス越しに眺めたり、ゆったり寝そべっているジャガーやピューマたちのおなかの下を金網越しに見上げたり、動物たちのいきいきした姿を楽しんでいただけることでしょう。具体的に展示にどんな工夫がこらされているか、ぜひ猛獣館にお出かけになって確かめてください。

マサイキリン、トッポの死。猛獣館オープンに向けての準備に大詰めを迎えているさなかに、悲しい出来事がありました。それはマサイキリンのトッポが急死したことです。

トッポはそのしばらく前から、ちょっと食欲がありませんでした。便も柔らかかったのですが、それが良くなってきた矢先のことでした。

3月12日の朝、飼育員がキリン舎の行くと、トッポは寝室内で立てなくなって壁に首を持たせかけている状態でした。動物園スタッフ総出で長い首をたおれないように支え、注射や輸液の治療を施しましたが午後2時10分に亡くなってしまいました。

年齢13歳。人間に例えると40〜50歳くらいでした。

トッポは1998年10月にアメリカのカンザス市動物園から来園し、メスキリンのリンとの間に2頭のこどもがありました。昨年熊本市動植物園に婿入りしたリキと、今年の1月20日に生れたハートです。

お母さんキリンのリンがお乳をうまくやれないため人工哺乳中のハートが、間違ってトッポのお乳?を探そうとすることがありましたが、そんな時、戸惑いながらもハートを追い払おうとはしない、やさしいお父さんキリンのトッポでした。

トッポの冥福を祈りたいと思います。

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