でっきぶらし(News Paper)

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202号(2011年10月)4ページ

≪実習だより≫動物園実習を通して感じたこと

 私は5年になり、急に就職が近いものに感じてきました。3年の頃までは動物園の獣医師になりたいと考えていましたが、狭き門だと聞いて諦めていました。しかし、将来を考えるに連れてどうしても諦めきれなくなり、もう一度志を持つことにしました。公務員の獣医師が勤務している動物園の様子を見たい、また、そこで働く方のお話しを聞きたいと思い、日本平動物園に実習のお願いをさせていただきました。
 私が大学で所属している臨床病理学教室では大学病院での診療の補助を行います。初めて会う犬や猫に高価な機械を使った最前線の医療を施します。彼らは大切に育てられた誰かのペットであり、普段どんな遊びをして、どんなものを欲しがって、どんな風に寝るのかを私たちは知ることができません。大学病院なのでなおさらそうなのかもしれませんが、動物と関わりたくて獣医学科に入ったのに、動物を身近に感じることは少ないように思えました。
 日本平動物園の獣医さんは動物との時間を大切にしていらっしゃいました。毎日朝と夕に顏馴染みの動物たちの様子を見たり、触れ合ったり、飼育員の方々にお話しを聞いたりして確認されていました。一番印象に残っているのは、チンパンジーです。1日目に唾をかけられたので、2日目は私も知恵をつけてこっそり後藤さんの後ろに隠れてみました。すると、後藤さんにはかからないように私側に移動して噴射のポーズに入りました。その様子を見て、獣医師も動物園の一員なのだと強く感じました。日本平動物園の獣医さんは皆さん動物を身近に感じていらっしゃるように思えました。
 しかし、公務員獣医師の仕事は動物園だけでないということも、皆さん口をそろえておっしゃっていました。菅野さん、金澤さんには他分野の仕事のお話しも詳しく聞かせていただきました。どれもやりがいのある大切な仕事だと伺い、一層他分野の仕事にも触れてみたいと思いました。静岡市で他分野の実習をさせていただける機会がありましたら、是非やらせていただきたいです。
 獣医実習の他に、小川さんと板東さんに飼育実習をさせていただきました。餌を用意したり、掃除をしたり、池に餌用の魚を捕りにいったり、孔雀の小屋を用意したりと、体をたくさん動かして動物に関わることをするのはとても気持ちがよかったですし、何より楽しかったです。動物園での仕事にはどれも必ず動物が関係していて、とても魅力的でした。チンパンジーに唾をかけられたのは悔しかったですが、佐野さんに動物に認められるための第一段階はクリアだと言っていただけて嬉しかったので、1番の思い出になっています。
 また、長倉さんに女性獣医師に関する様々なお話しを聞かせていただきました。女性の立場からみた獣医の世界は男性から聞くものとは少し異なり、深く考えさせられました。実習をさせていただいたことで、公務員の動物園獣医師の良いところだけでなく、覚悟しなければならない部分も知ることができました。何もせずに、決めたり諦めたりしなくて本当によかったと思っております。
 5日間の実習で、将来に関わる貴重な体験をさせていただきました。菅野さんをはじめ、お世話になった皆様、お忙しい中時間を割いていただき本当にありがとうございました。

日本獣医生命科学大学 5年 守谷友加里

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