でっきぶらし(News Paper)

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203号(2011年12月)1ページ

「オニ嫁」ではない、オニオオハシのお嫁さん来園

 熱帯鳥類館の入口を入ってすぐの展示室にオニオオハシがいます。昨年の夏に連れ合いをなくし、オス一羽になっていたのですが、このほど栃木県の那須どうぶつ王国から新しくお嫁さんがやって来ました。
 オニオオハシは南アメリカ原産の嘴の大きなユーモラスな姿の鳥で、体の色は黒く、喉と腰は白、嘴はオレンジ色でその先端は黒くなっています。大きな嘴には細かい血管が走っていて、熱を逃がすラジエーターの働きをすることが最近の研究でわかったそうです。オニオオハシはキツツキに近い仲間なので脚の指が前二本、後二本に分かれています。他の鳥の脚と比べてみてください。
展示室内でオスといっしょになったお嫁さんは、初めのうちはオスが近寄るとちょっとこわいのか逃げ腰でしたが、時間が経つにつれ少しずつ慣れてきました。いまのところ展示室の掲示に飼育員さんが張った「やってきましたオニ(オオハシ)嫁」のようにメス優位というわけではなさそうです。仲良くなって二羽にあいだに早く赤ちゃんができるといいですね。
 さて、フライングメガドームには、この池がドームで覆われる前からの住人であるオスのモモイロペリカン「カッター」が暮らしています。カッターも数年前につれあいを亡くし、他の水鳥に囲まれながら、ひとり(一羽)暮らしを楽しんで?いました。悠々と水面を泳ぐその姿は池の主といった風情でした。しかしそのひとり暮らしが終わる時が来ました。それもいっぺんに五羽の仲間が増えたのです。
 その五羽は十一月九日に山口県にある「常盤遊園」からやってきました。常盤遊園には四種のペリカンがいますが、その中でも「カッタ」君(似た名前ですね)という、全国的に有名になったモモイロペリカンがいました。「カッタ」君は常盤遊園の近所の幼稚園に遊びにいったりしてみんなの人気者でした。
 五羽の仲間がフライングメガドームにやってきて池の主だったカッターはどうだったでしょう。はじめは五羽とは離れて泳いでいたカッターですが、さすがフライングメガドームの主の貫録を出し、次の日にはペリカンの群の真ん中で悠々と泳いでいました。新しい五羽の性別はオス二羽、メス三羽です。カッターをいれて三ペアとなりました。ペリカンが繁殖する日が楽しみです。
十月一日にはマレーバクの赤ちゃんが誕生しました。
 マレーバクのオスのシンとメスのミライの間にはこれまで三頭の子供を出産し、それぞれよその動物園に旅立っています。今回は四年ぶりの出産となり、公募の結果「ヒカル」と名前がつきました。
 マレーバクの子供は黒地に白い縦縞があり、イノシシの子供「ウリボウ」によく似た模様をしています。これは生息地の熱帯雨林の中でカモフラージュの役目をしていると考えられます。体色は生後一ヵ月くらいから腰のあたりがだんだん白くなって来ています。それが徐々に広がって親と同じように胴体の中央部全体が白くなります。それにともない、縞模様はだんだん薄くなり、生後四カ月〜半年には消えてしまいます。
 縞模様が消えないうちに、お母さんのミライに寄り添っているヒカルのかわいい姿を見に来てください。

動物病院担当 菅野 展美

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