でっきぶらし(News Paper)

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206号(2012年06月)6ページ

スポットガイドだより

≪3月18日 夜行性動物館≫

 快晴で20℃以上の気温になる・・・・・・はずが、朝から曇りで昼前には雨が降り出した肌寒い3月18日。大嘘つきの天気予報に負けずに、13:30、夜行性動物館のZOOスポットガイドを開催しました。
本来は、こうした天候になってしまうと、スポットガイドを円滑に行うには色々と支障をきたす為、ガイド開催日を次の機会に順延する事が多いのですが、今回はぎりぎりまで空の様子を見て、それが功を奏したのか、開始予定時間10分前辺りでパタッと雨が止み、ガイドを開催する事ができました。余談になりますが、3月は言わずと知れた年度末で、特に当園の様な公共施設はこの3月に年間予定を消化し終わらないと非常にややこしい事になってしまうので、その点でも助かりました。
 さて、前述の通り13:30にスポットガイドを開始。今回は夜行性動物館出口付近で、担当者が館内の動物達の解説を行いましたが、その中でも特に参加者の皆さんの注目を集めていたのが、タテガミヤマアラシのトゲとワシミミズクの羽根でした。もちろん、現物を用いて解説・・・タテガミヤマアラシの長く鋭いトゲが、実は体毛が変化した物である事を分かっていただく為に、実際に抜け落ちたトゲに火を付けて焦がしたりしました。焦がすと、あの毛髪が焦げた時と同じ臭いがするからです。そして、ワシミミズクの羽根は、当園の猛禽舎にいるアンデスコンドルの大きな羽根と比較。皆さんの目の前で羽根を振って見せ、アンデスコンドルの羽根は空気を切ると音がするのに対し、ワシミミズクの羽根は殆ど音がしない事実をお話しました。ワシミミズクの羽根は、縁が特殊な櫛の様な構造になっており、このお陰で羽ばたいても大きな音がせず、空中からネズミ等の獲物に忍び寄れるのです。
 一通りの解説をした後、スポットガイドのシメとして、参加者の皆さんに夜行性動物館のバックヤードを【静かに】通り抜けていただきました。バックヤードとはつまり、皆さんが普段、絶対に入る事ができない動物園の舞台裏?です。3グループに分かれて、時間差で入館し、それぞれのグループに付いた飼育員が各自、自分なりの解説・説明をしました。
 普段、昼夜逆転に成る様に照明を調整している、夜行性動物館。
日々、殆ど声を発する事無く、ひっそりと生活している館内の動物達は、たくさんの参加者の皆さんが、自分達と同じ様にバックヤードをひっそりと通り抜けていくのを見聞きして・・・・・・何を感じたのでしょう?
 淡い赤色灯が創り出す、仄暗い赤い闇の中。静かな静かな、赤と黒の世界。
 彼らの黒い眼も、ほんのりと赤く光っていました・・・。

≪4月15日 動物病院≫

 新年度がスタートした、4月15日。園内のあちこちでは風が吹く度にたくさんの桜の花びらが舞い、吹く風の姿をそのまま現していました。
 今回のZOOスポットガイドは動物病院。こちらも例年通りの開催(動物病院のZOOスポットガイドは春に開催する慣習があります)で、時間は13:30よりスタート。
 今月、リニューアルオープンした正面ゲートを過ぎた所にある、国旗掲揚塔付近で参加者を募りました。今回のガイドは、言わば【動物病院見学ツアー】的な内容を考えていたので、参加者に30名の定員を設けた関係もあり、開催10分前から参加受付を開始。それ以前から並んでいてくださった方々を含めて、あっと言う間に定員に達してしまいました。前述した様に、春に開催するこの動物病院のスポットガイドは、毎回とても人気があり、それが今回も実証された形になったのです。
 受付終了後、30名の参加者の方々は、大きく2グループ・各15名に分かれていただきました。なにぶん、建物内部のスペースを可能な限り活用している、純然たるインドア施設である動物病院です。30名の方々が一斉に中に入ってしまうと、身動きが出来難くなるのはもちろん、他にも色々、支障が出ます。ですから、空間的な余裕を考え、2グループを時間差で建物の中に案内したのです。
皆さんを中に誘導して、主に御覧いただいたのは手術室(処置室)と解剖室でした。この2ヶ所の施設を見学してもらったのは意味があります。まず、手術室(処置室)ですが、ここでは園内の動物達の治療はもちろんの事、園の外の動物達の治療も行っています。園の外の動物達とは、怪我をしたり病気になったりして、あちこちの山野や市街地で保護された鳥獣達であり、実は、こうした野生鳥獣を中心とした動物達の保護・治療も、当園の動物病院の大切な仕事であり使命でもあります。年間、膨大な数のこうした保護鳥獣が当園に持ち込まれ、この手術室(処置室)で治療を受け、入院の後、元気になったものは野生に還されるのです。しかし、残念ながら手を尽くしても死亡してしまう動物もいます。これは、当園の動物も、当園の外で保護された動物も同じです。
そうした場合、原則として解剖し、死因を突き止めなくてはなりません。また、数が少ない希少な動物は、その亡骸を保存する必要があります。この為に、もう1ヶ所の施設、解剖室が活用されるのです。
 今回のスポットガイドでは、皆さんに、この点を特に御説明しました。それは、手術室(処置室)の機材の多くが人間の病院で使用されている物と同じである事・解剖室では様々な動物の身体のサンプルが保存されている事などの事実を、実際に確認していただく形で、獣医師を主とした動物病院関係者が丁寧な解説を行ったのです。
 ・・・さて、今回のスポットガイドは4月15日でしたが、この数日後の4月19日が・・・実は、動物園に関係する【ある制定日】になっているというクイズを出させていただきました。この数字を見て、すぐ何の日かお分かりになった方、どのくらいいますか?そう・・・それは、【飼育の日】なのです。

ZOOスポットガイド班 長谷川 裕

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