でっきぶらし(News Paper)

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229号(2016年04月)8ページ

スポットガイドだより② ~2月21日 猛禽舎~

スポットガイドだより② ~2月21日 猛禽舎~

 2月21日・13:30より、猛禽舎のガイドを行いました。猛禽(もうきん)という言葉に馴染みがない方の為に…これは大雑把に表現すれば、主に野生種の肉食性の鳥類を指す言葉で、タカ・ワシ・フクロウ・コンドル等がこのカテゴリに含まれます(まだ、他にもいっぱい居ますが)。ちなみに、アヒルやニワトリ等は家禽(かきん)といいます。【禽・きん】とは、鳥類を意味する言葉で、家禽とは人間の身近にいる品種改良された動物達を【家畜・かちく】と呼んでいる事と同義です(つまり【畜・ちく】とは動物を指す訳です)。
 今回のガイドの舞台、猛禽舎には現在アンデスコンドル・ヒゲワシ・ハクトウワシの3種が飼育されています。この3種、当園に御来園くださる多くの方々にファンがいて、特に、ヒゲワシに関しては遠方の方々がわざわざ観に来られたり、私達飼育員の同業者?も他県等から見学に来るくらいです。何故ならば、このヒゲワシ、日本では日本平動物園しか飼育していない鳥で、世界的にみても飼育している所が極めて少ないからです。こう御話するとカン?の良い方はすぐにお気付きになりますが、御察しの通り、自然界では物凄く激減していて、絶滅危惧種の筆頭・代表例としてすぐに名前が挙がる程です。当園で飼育しているのはメス1羽で、数十年前にオスとペアで来園しましたが、オスが亡くなってしまったので、それ以来独りで暮らしています。付け加えれば、亡くなったオスの代わりは、今までもこれからも、来園する事はないでしょう。それくらい数が減っていて、はっきりいってもう数が増える~たくさん繁殖する事は自然界でも飼育下でも絶望視されています。要するに、貴重中の貴重な鳥なのです。
 彼女も、もう高齢です。もともと野生個体なので正確な年齢は不明ですが、かなりの高齢である事に変わりはありません。ですから、彼女が居なくなったら、事実上、日本国内ではヒゲワシを御覧になることは、多分、二度と出来なくなります。
 ヒゲワシを含め、アンデスコンドルやハクトウワシも、確かに身体は大きい鳥類ですが、一般的?なイメージと大きく異なり、本当は神経質で臆病と表現しても良い生き物です。
 こうした話も絡ませながら、今回、女性担当者が丁寧なガイドを行ってくれました。どうか、皆さん、猛禽達、特にヒゲワシには機会があったら是非、会いにきてあげてください。もう…本当にもう…残された時間が短いからです。
 その時は、どうぞ、出来るだけ御静かに。そっとそっと、観てあげてください。

飼育係  長谷川 裕

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