でっきぶらし(News Paper)

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233号(2016年12月)7ページ

『うんちの行方』

 「うんち」は健康のバロメーターなどと言われます。人間同様、動物達も健康状態を確認するひとつの参考となるものです。健康状態がすぐれなければ、軟便や下痢を引き起こし、餌の採食状況も悪くなります。つまり、うんちの状態を見れば動物が健康か、そうでないかは一目瞭然です。
 さて、動物園の動物達が1日の中で一番楽しみにしている時間は何でしょうか?簡単なことですよね。ごはんの時間に決まっています。美味しいものを沢山食べれば出すものも沢山あります。うんちのにおいも多種多様で、果物に近いものや、草そのもののもの、人間と全く同じものまであります。まあ、毎日嗅いでいるとどれもいっしょになってきますけどね(笑)
 現在、日本平動物園には約170種の動物達がいますが、毎日にうんちとして出てくる量は600~700kg位で、年間で約260tにもなります。ちなみに一番体の大きなアジアゾウは、1日に2頭で200~300kgくらいのうんちが出ます。当園ではうんちを毎日回収して堆肥化しています。回収されたうんちを発酵菌と一緒に専用の大型高速発酵装置に入れ、48時間くらいゆっくり熱を加えながらかき混ぜ、発酵を促し堆肥化していきます。発酵菌がうんちを黙々と発酵、分解してくれて600kg以上あったものが、余分な水分が蒸発してなくなり200kg程度まで減少します。
 季節によっても堆肥の出来具合が異なります。雨の多い梅雨の時期などはどうしても水分が抜ききれず湿った堆肥となり、乾燥した冬場などは少しの風でも舞ってしまう程サラサラな堆肥が出来ます。出来上がった堆肥は二次発酵をさせるため一定期間保管します。その後、園内の樹木や地元の農家の方たちの田畑で大活躍をします。農家の方たちからは、動物園の堆肥は好評で、栽培される作物の状態や味がとても良くなると言ってくれています。

(飼育係  佐野 彰彦)

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