でっきぶらし(News Paper)

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234号(2017年02月)2ページ

「奇跡の回復!ヤギのハナちゃん」

 でっきぶらし読者の皆様初めまして。動物病院飼育担当の吉見です。病院で働き始めてもうすぐ1年、忙しくもあり、楽しくもあり、あっという間でした。他の飼育係と違い、普段なかなか人前に出ない私ですが、エントランスの近くで仕事をしているので気軽に声をかけていただけたら嬉しいです。
 動物病院係というと、よく獣医だと勘違いされてしまいますが、私は飼育担当なので手術を行ったり注射を打ったりすることはなく、獣医師免許も持っていません。私の仕事は、入院している動物のお世話と、獣医さんのお手伝いです。看護師さんみたいな感じですね。病院に入院する動物は種類も症状も様々です。今回はそんな中から、奇跡的な回復を見せたヤギのハナちゃんについて紹介しようと思います。
 ハナちゃんはふれあい広場で他のヤギたちと一緒に生活していましたが、昨年の11月24日に倒れてしまい、起き上がれなくなったため入院しました。原因ははっきりとはわかりませんでしたが、急に冷えてしまったことと衰弱だと思われました。体温が平熱より3℃ほど低く、眼はうつろで首を動かすこともできない危険な状態でした。病院に運び、すぐに体を温め点滴をしました。その日のうちに体温は平熱近くまで戻りましたが、体を動かすことはできませんでした。次の日、餌をもりもり食べるようになり、尿も便もたくさん出すようになりました。しかし体を動かすことは難しく、脚を時々ばたつかせるくらいしかできませんでした。それからもしばらくの間、そんな状態が続きました。私たち飼育員が介助して立たせようとしても、脚に力が入らず、すぐに体勢が崩れてしまいます。そこで入院12日目である12月5日に、ハナちゃんの体を道具で吊り、長時間立たせ、脚の負担を減らして自力で立てるよう、リハビリをしました。しかし、その道具によって首が圧迫され、うまく呼吸ができなくなってしまったので、すぐに道具を外し、断念しました。このリハビリは一見失敗だったかのように思われました。ですが次の日からハナちゃんに少しずつ、でも明らかな変化が見られるようになりました。次の日、後ろ脚をよく動かすようになりました。自力で立とうという意思が見られたのは入院して以来初めてです。それからは、毎日快方に向かっていきました。後ろ脚だけ立てるようになり、這って歩けるようになり、前脚にも力が入り始めました。そして入院24日目である12月17日、ついに自力で立って歩けるようになりました。この時はまだ不安定で足元がおぼつかない状態でしたが、だんだん安定していき、19日には走れるようになりました。
 入院46日目である1月8日現在、ハナちゃんは時々病院の外へお散歩に行けるまでに回復しました。上り坂も下り坂も問題なく進めます。寝たきりだった頃が信じられません。ただ、元々いたふれあい広場には、餌を横取りしてくるライバルがいっぱいいるので、退院するのはもう少し先になりそうです。1日も早くハナちゃんがふれあい広場に戻れるよう、応援よろしくお願いします。

(動物病院係 吉見綾音)

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