でっきぶらし(News Paper)

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238号(2017年10月)1ページ

15年ぶり!チンパンジーの赤ちゃん生まれました★

 8月17日19時15分、チンパンジーのコニーが赤ちゃんを出産しました。日本平動物園でのチンパンジーの繁殖は15年ぶりです!

 昨年5月からオスのカムイとコニーの同居を行い、交尾が確認できたため、出産に向けて様々な準備をしてきました。チンパンジーの妊娠期間は約230~250日と、人間よりも少し短めです。出産予定日の2週間前からコニーは寝室で1日を過ごすようになりました。とても落ち着いた様子で出産に備えていたようです。

 8月17日の夕方、担当飼育員は、コニーが破水しているのを発見しました。すぐに生まれるかと思ったら、また落ち着いてしまったため、夜まで様子をうかがっていたところ、19時15分に元気な男の子を出産しました。

 人間の赤ちゃんが生まれた場合、すぐに身長や体重を計測して、そのあとに健康チェックを行いますが、チンパンジーの場合は少し違っています。生まれてきた赤ちゃん身長や体重をすぐに計測することはできません。赤ちゃんやお母さんの様子をよく観察して健康状態をチェックしているんです。たとえば、生まれてから3日間のうちに授乳が確認されなかったり、お母さんが赤ちゃんを正しく抱けていなかったりすると、人の手で育てていく人工保育に切りかえることになります。しかし、今回出産したコニーはベテランのお母さんで、出産してからすぐに赤ちゃんの体を舐めてあげたり、拭いたりしていて、授乳もしっかり確認することができたため、母子ともに健康という判断をすることができました。

 赤ちゃんは、生後10日を迎えた休園日に、コニーとれんげ(赤ちゃんからみるとお姉さんにあたります)と共に初めて放飼場へ出ました。れんげは初めて見る弟に興味津々…!最初はコニーの後ろをついて回っていましたが、コニーのお腹にしがみついている赤ちゃんが気になるようで、時々手を出して触っていました。15歳も年の離れた弟がとてもかわいいみたいですね!しばらくするとれんげは、コニーが抱いていた赤ちゃんを代わりに抱きはじめましたが、そのあとできちんと返していました。れんげに抱かれた赤ちゃんの様子はというと、とても落ち着いていて、コニーもれんげのことを信頼しているようでした。チンパンジーは群れで生活している動物なので、群れで協力して子育てをしています。そのためお母さんが少し休みたいときに、お姉さんや叔母さんが代わりに赤ちゃんを抱くこともあるようです。今回の出産はきっとれんげにとっても、すごく勉強になるんじゃないでしょうか。

 さて、休園日に放飼場デビューを果たした赤ちゃんですが、コニーも赤ちゃんもれんげもとても落ち着いていたので、そのまま次の日からお客さんにも公開することになりました。たくさんのお客さんから熱い視線が向けられる中、赤ちゃんはしっかりとコニーの体にしがみついています。チンパンジーの赤ちゃんは1日のほとんどを寝て過ごします。この点については人間とよく似ていますね。今回生まれた赤ちゃんも眠たいようで、大あくびをしているところがよく見られました。

 生後1年くらいまではお母さんのそばで過ごす様子が見られるみたいです!これからの成長が楽しみですね!皆さんもぜひ、チンパンジーの親子を見に来てくださいね☆


(飼育係  大谷 舞)

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