でっきぶらし(News Paper)

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250号(2019年10月)3ページ

ゾウの背中

 私が飼育員になって1年目の冬、アジアゾウの担当になり、それから10年が経ち11年目に突入しまた。アジアゾウに関して分からないことばかりで始まり、少しずつ段階を踏んで色々なことを勉強しながら何とか形になり、現在に至っています。日本平動物園では、2頭の雌のアジアゾウを飼育し、名前が「ダンボ」と「シャンティ」といい、それぞれ53歳と50歳になります。静岡市で生まれ育った方々には、子供の頃動物園で見たゾウが彼女たちになるでしょう。「ダンボ」は開園した昭和44年から、「シャンティ」は次の年の45年から、ここ日本平動物園で暮らしています。50年の間には、いろんなことがあったと思いますが、令和の時代に入っても2頭元気に暮らしています。 
 飼育方法も色々といわれている中ではありますが、「シャンティ」にあっては飼育員がゾウと同じ空間に入って行う直接飼育をしています。(ダンボは現在準間接飼育をしています)直接飼育の一環で、毎日午後1時15分から(雨天中止)トレーニングを行います。その中にゾウにライド(背中に乗る)することがあるのですが、そのライドを今年の春先より先輩飼育員の指導を受けながら、練習をしてきました。始めのうちは、中々ゾウと息が合わないというか、、、乗るには乗るのですが、背中から降りる時や乗っていて動いている最中に、シャンティがおしっこをしてしまう事が続きました。このおしっこをするという行為は、少し不安に思っている証拠でもあります。今まで10年近く飼育はしていましたが、その人が急に自分の背中に乗り出せば、自分だったらやはり嫌な気持ちになるよなーと思ったりもしながら、練習をしていました。そんな練習を2~3か月程行い、先輩飼育員が一緒に付いていなくても問題なく乗れるようになってきました。そして、先輩飼育員が休みの日に、私一人でお客様のいる前で乗ってみようということになりました。私自身も少々緊張してもいましたが、「シャンティ」もまた、同じように緊張していたのだと思います。私は、どうだろうか?無事に最後まで背中に乗せていてくれるだろうかと、一抹の不安を抱いていましたが、2人?力を合わせて無事に終わることができました。本当に良かったです。 
 「シャンティ」は、今まで先輩飼育員の方々を乗せてきましたが、おばあちゃんゾウになってまさか、歴代で一番重たい飼育員を乗せる羽目になるとは、思ってもいなかったかと思います。少し大変かもしれないけれど、これからもよろしく頼みます。

(児玉 賢之)

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