でっきぶらし(News Paper)

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253号(2020年04月)4ページ

ロッシーの引っ越し

 ホッキョクグマの雄のロッシーが1月末に新ホッキョクグマ舎から猛獣館に引っ越してきました。ロッシーにとって愛する雌のバニラがいる猛獣館への引っ越しは、待ちに待った日です。

 引っ越しの方法は、餌を使っての誘導です。そのためロッシーのお腹を十分に空かせといて好物の餌を置くことが大切です。厳密にいうと猛獣館への移動は、比較的スムーズにできますが(逆に猛獣館から新ホッキョクグマ舎への移動はバニラと離れたくないロッシーがスムーズに移動することはなく飼育員の頭を悩ませます)、それ以上に体重を計るときが問題です。猛獣館への移動通路には体重計がありますが、この体重計は乗るとグラグラしロッシーが嫌がります。体重計は、静止した状態でボタンを押すと記録に残すことが出来るシステムですが、興奮しているロッシーが静止することはほとんどありません。静止する間を狙って、過去にボタンをこれでもかと連打したこともありましたが私の連打スピードが遅かったせいか体重計に記録されず、測定できませんでした。その時はロッシーが体重計に乗って一番安定したときを体重として測定しました。今回の体重は508kgでした。ホッキョクグマは15歳頃まで成長するといわれているので12歳のロッシーはもう少し成長してくれると思います。

 さて引っ越しの後は、1週間日中は別々の展示場で過ごし、夜は隣同士の部屋で過ごしたりして2頭の存在を十分に確認してから放飼場での同居になります。ロッシーにとっては長い1週間です。そして同居が始まってから大切なことがロッシーには待っています。それはバニラに発情の兆候がきていないかお尻の匂いを嗅ぐことです。ロッシーは犬よりも良いといわれる鼻を使って入念にチェックします。当然しつこくお尻の匂いを嗅がれたバニラは嫌がりはじめ、日が経過するにつれ中々お尻の匂いを嗅がせてくれなくなりました・・。

 同居10日目頃には2頭の間に少し距離が出てきました。そこで排水管のおもちゃを1つだけ与えてみました。バニラはおもちゃを見て嬉しそうですがロッシーはニヤリ。ロッシーはおもちゃに興味がありませんがおもちゃを持ってプールで遊んでいるフリをしています。そこでおもちゃが欲しいバニラが陸地をウロウロ歩き始めおもちゃ目掛けてプールにダイブ。ロッシーはおもちゃをバニラに譲り、すかさずバニラの後方へ回りお尻の匂いを嗅ぎにいきます。おもちゃを手にいれたせいかバニラもそれほど気にしていません。ほんとうにジェントルマンか!?今度はどんな手を使ってお尻の匂いを嗅ぎにいくのでしょうか。

(中根 建宜)

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