でっきぶらし(News Paper)

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256号(2020年10月)4ページ

新人の課題その1「女は強いよ」

 初めまして、新人飼育員の渡邉です。昨年まで県外の園で働いていましたが、私自身地元が静岡という事もあり、縁があって今年度から日本平動物園で働いています。他園にいたと言っても、学校を卒業して1年間勤めていただけなので、知識や経験が豊富という訳ではありません。伸びしろたっぷりの若手になります。前の園では、ふれあい班のヤギ・ヒツジ・カピバラを担当していました。当園でもふれあい動物園の配属となり、「活かせることが多いぞ!」と意気込んでいました。しかし、担当は鳥。しかも知能が高いインコ。ふれあい動物園内にもヤギやヒツジ・カピバラはいるので代番(担当の人が休みの日に代わりにお世話をする人)の時は観察する点や注意する点など、役に立っていると実感することはあります。ただ、自分の担当はインコ。経験もほとんどなく、知識も不足している状態なので、現在は勉強しながら、飼育の面も試行錯誤しながら頑張っています。いざインコを担当してみると、表情が読み取りにくく、変化に気づくことが難しく、「観る」ことがすごく大切だと感じています。

 さて、前置きが長くなってしまいましたが、インコ担当の現在の課題についてお話したいと思います。2020年3月末、当園で飼育されているシロビタイムジオウムのビタ(雌)のお婿さんとして、他園からロビ(雄)がやってきました。最初はビタがいる部屋に、ロビが入っているケージを置いていました。前インコ担当の先輩から、ビタとロビの同居訓練についての引継ぎを受け、獣医と相談し4月中旬に1回目の訓練を実施しました。何かあってもすぐに対処できるように、獣医同伴の元30分ほどロビのケージを開放し、2羽の様子を観察しました。1回目は、ロビが室内の空間に慣れておらず、ぎこちない姿を見せながらも無事に終了する事が出来ました。そこから数回は、一緒に餌を食べていたり同じ止まり木に止まっていたりと問題は無いように思われました。しかし、ある日突然ビタはロビを追いかけ回すようになりました。ロビは来園した時から羽がちゃんと生えておらず、飛ぶことができません。その為、ロビの逃走手段は走ることしかできません。ビタが近づいてくると、怖がってしまい、木から落下してしまう事もありました。それを境に訓練中2羽は一定の距離を保つようになりました(そこでソーシャルディスタンスはいらないから!)。現在は、ロビの羽を生やし翼の筋肉をつけることを優先し、訓練は行っていません。隣の部屋で飼育し、お見合いだけ行っています。時間をかけて同居できるようにしたいと思います。ロビもっと自信もって!ビタ優しくなって!
               
(渡邉 昴子)

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