でっきぶらし(News Paper)

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261号(2021年08月)5ページ

「動物園を見てみよう!」

 みなさん、こんにちは。私は今年の4月に人事異動で日本平動物園にやってきた新人獣医です。今回、動物病院からは、40代半ばを迎えた、遅れてきたルーキーがお届けします。
動物病院の獣医師の重要な任務に、園内の巡回があります。動物の外貌や動きを観察したり飼育員に動物の様子を聞いたりして、動物の健康状態をチェックしながら園内を一巡するわけですが、そうやって園内を回っていると、静岡生まれの自分は子供の頃の日本平動物園のことをふと思い出します。今回はそんな思い出ランキングを発表します!

第3位 キリンヘビ食い事件
当園のキリン舎は、日本平の山の傾斜を利用し、キリンと同じ目線でキリンの採食風景を見られる、観察に適した造りになっています。子供の頃の私も興味津々で近くで見ていたのですが、葉っぱを食べているはずのキリンが、黒くて長いものをスルスルと飲み込んでいるではありませんか!「おとーさん、大変だ!キリンがヘビ食ってる!!」と大騒ぎし、親子で真偽を確認したところ、キリンがなが~い舌で葉っぱを絡めとって食べていただけなのでした。みなさんもぜひキリンの舌の長さと器用さを観察してみてください。

第2位 バーバリシープソデ食い事件
現在のワラビー舎、草食獣舎の辺りは、以前はバーバリシープの放飼場となっており、今より大きな群れで飼育されていました。資料によると、私が子供の頃の1980年代には20頭くらいのバーバリシープがいたようです。
バーバリシープの大群と柵越しに記念写真を撮った時のことです。写真を撮り終えると、何者かに引っ張られ柵から離れられません。そう、柵越しにバーバリシープが私の服の袖をムシャムシャし、柵にはりつけ状態にされてしまっていたのです。なんとかかんとか柵から引きはがしてもらったものの、袖はビロビロのビショビショになってしまっていたのでした。反芻獣の唾液の臭さを学んだ経験です。

第1位 サイゴロン事件?
サイ舎の放飼場では、シロサイ2頭がよく気持ちよさそうにゴロゴロしていますが、その光景は今も昔も変わりません。サイを眺めるのが好きだった当時の私は、ゴロゴロしているシロサイをじっくり眺めていたのですが、そこにデッキブラシを持った飼育員のおじさんがやおら現れました。何をするのかと思ったら、おじさんはひらりとサイの横っ腹に飛び乗り、デッキブラシでゴリゴリとサイのお腹をこすり始めたのです。こすられたサイは、さらにお腹を出してとても幸せそうにしていて、それを見た私も幸せな気分になったことを覚えています。私もこのおじさんのように、動物も見る人も幸せにできる職員になりたいものです。
ちなみに2頭のシロサイのタロウとサイコ、タロウは代替わりしていますが、サイコは当時からの個体です。

 長々と思い出を語りましたが、実は園内にも当園の歴史を振り返ることができるコーナーがあります。レッサーパンダ館に隣接するビジターセンター内に、開園からの歴史が掲示されていますので、ぜひみなさんもご自分の思い出とともに昔を懐かしんでください。

 
(岡村 創)

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