でっきぶらし(News Paper)

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265号(2022年04月)3ページ

体重量るよ!全員集合!

 今からおよそ3年前、4頭の人気者が伊豆からやってきました。その人気者とは?そう、カピバラです。来園当初はまだ幼く小さかったなめこ、ぶな、ちゃんこ、さくらの4頭のカピバラ達、よく食べよく寝てよく遊び、どんどん成長した彼らは今では立派な大人になりました。この3年間カピバラを飼育管理してきましたが、1つだけやっていないことがありました。体重測定です。ウサギ等の小さな動物は体重を測るのも容易ですが、体の大きな動物の体重を測ることは簡単ではありません。飼育動物の体重を把握することも、飼育管理を行う上で大切なことです。そこで今回は当園初の試み、カピバラ達の体重測定の様子をお話ししていこうと思います。

 まず大きな動物の体重を測る時は、それだけの大きさの秤を用意する必要があります。当園には2本の金属センサーの上に板を乗せ、そこで体重を測る大型動物用の秤があるので、それを使用しました。とはいえ、秤を用意して「さあ載って!」と言っても載るわけがありません。ある日突然、見慣れない物が目の前に現れたらどんな動物だって警戒します。そのため、まずは載る板に慣れてもらう必要がありました。そこで、彼らが日中過ごす放飼場に秤用の板を置き、様子を見る事にしました。初日の反応はというと…板を見つけた瞬間30秒ほど固まるなめこ、遠くから観察するぶな、板の臭いを嗅ぐちゃんこ、さほど気にしないさくら、4頭いれば反応もそれぞれ違いました。その後は板の上に餌を置いたり餌で誘導して板に近づけてみたり、板に慣らすこと約2ヶ月、遂に体重測定を行う日になりました。この時には日中板の上で眠ってしまうほど板に慣れていたカピバラ達、職員3人で放飼場に秤を準備し、体重測定を開始しました。餌を持って板に載るように誘導した所、最初に載ってきたのは「ちゃんこ」でした。ちなみに一般的な大人のカピバラの体重は40~60kgぐらいです。ちゃんこの体重は47.5kg、しっかり測れました。しかし、体重を測り終わっても板から降りてくれません。「僕知ってます、ここに載ってたらごはんもらえるんですよね?」みたいな顔でしばらく載っていました。ちゃんこの姿を見て次に載ったのは、「ぶな」です。ぶなの体重は44kgでした。一度板から降りたと思ったらまた載ってきて餌をねだっていました、食いしん坊ですね。ぶなが板に載っていると近づいてきたのは、「さくら」です。最初は前肢を板に載せているだけでしたが、しばらくすると後肢も載せ、体重を測ることができました。体重は52kg、初の52kg台です。一方その頃、警戒心の強い「なめこ」はというと、3頭が順調に体重を測っている中、ずっと温泉に浸かってその様子を観察していたのでした。結局、その日なめこの体重を測ることは出来ませんでした。しかし、ここで諦める我々ではありません。

 そこから約1か月後、再び体重測定を行いました。他の3頭が板に載って餌をねだったり板の上に居座っている中、なめこは少し後ろで様子を伺っていて、前回の様に温泉に逃げる事はありませんでした。ちゃんこの体重を測り終わり、ちゃんこに降りる様にうながしていた時、決心がついたのか遂になめこが板の上に載ってきました。ちゃんこは下りる気配がなかったため、仕方なく2頭載っている状態で体重を測りましたが、体重をしっかり測ることができました。なめこの体重は50kgでした。そんなこんなで2回に分けて終始ドタバタな体重測定でしたが、無事に全員の体重測定を終わらせることができました。

 3年前は一番体の小さかったさくらが、今では1番重いという結果に一番驚いたと共に、立派に成長してくれたんだなぁと、少し感動。今後もたまに体重測定を行う事があるかと思いますので、皆様が来園された際に、もしカピバラの放飼場で体重測定が行われていたら、そっと見守って応援していただけると幸いです。

(望月 利紗)

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