でっきぶらし(News Paper)

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273号(2023年08月)5ページ

シロフクロウ繁殖秘話

表紙でもチラッとふれましたが、6月下旬にシロフクロウのヒナが4羽産まれました。残念ながら、そのうち1羽は死亡してしまいましたが、3羽は今もすくすく成長しています。今回の繁殖は現在いるハリー(♂)とアナ(♀)のペアでは初めてになります。ハリーは以前いたメスのポッターと、かなりの数の子どもたちを育ててきたベテランお父さんです。一方アナは2020年に来園した後、卵を産み、抱卵はしたもののヒナを育てたことはありませんでした。そんな2羽がどういう経緯で繁殖に至ったかを本記事ではご紹介します。

時はさかのぼり、4月上旬。今年度の担当が発表され、私は新たにシロフクロウの担当になりました。例年通りなら繁殖期が5月~8月で、担当が変わってすぐに繫殖のための準備に取り掛からなければなりません。シロフクロウはメスが卵を抱き始めてから、約30日でヒナが孵ります。5月~6月に卵を産み、ふ化するのが早くても6~7月。そこから1か月ほどでヒナが大人に近いサイズまで成長して、7月~8月。これを全てひっくるめて5月~8月が繫殖期となっていますが、うーん、ひとつ気がかりなことが…。頭を抱えたのは毎年行っているシロフクロウの移動のタイミングです。例年は気温が上がる6月頃に冷房完備の猛獣館1階の屋内施設へ移動をしていました。しかし6月は繫殖期真っ只中。抱卵中、もしくはこれから卵を産むぞというタイミングで移動を行うと、移動のために行う捕獲のショックから繁殖をやめてしまうかもしれません。かといってそのままの部屋で繫殖を行えば、シロフクロウはヒナ諸共暑さにやられてしまうかもしれません。散々迷った挙句、移動先で繫殖をさせようということになりました。移動当日までにメスは卵を3個産んでいましたが、幸いにも?無精卵で、移動後の繁殖に期待がかかりました。屋内施設へ移動すると、オスメス両方ともかなり興奮した様子で、それまで見られていた繁殖期特有の行動(オスによる飼育員へのダイレクトアタックなど)が見られなくなりました。「うーん、やっぱりこの時期の移動はよくなかったかなぁ。余計なことしちゃったかなぁ。」とその日は何度も彼らの部屋の前をウロウロしました。しかし、翌日には産卵場所として用意したプラスチックの舟にオスがマウスを運び、そのまた翌日にはメスがその中でマウスを食べている様子を確認。「よしよし、順調に繫殖行動が戻ってきてるぞ」と心の中でガッツポーズしました。そして1週間後にはメスが卵を抱いている姿が確認できました。さらに、約1か月後の6月20日。メスの姿を確認しにいくと、胸元の羽毛がやたら不自然な動きをしていました。ジッと見ていると白くてふわふわの何かが。そうです、1羽目のヒナがふ化していました。

お母さんのアナは初めての仔育てにもかかわらず、一生懸命エサのマウスをちぎり、ヒナたちに与えていました。お父さんのハリーも飼育員への警戒&アタックを欠かさず、また、たくさんのマウスをアナとヒナの元へ運びました。2羽とも本当にお疲れ様でした。この記事を書いているころにはヒナたちはかなり大きくなって、お客様の前にも出てくると思います。もはやヒナとは呼べないサイズの彼らに、ぜひ会いに来てくださいね。

藤森 圭太郎リカルド

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