でっきぶらし(News Paper)

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276号(2024年02月)9ページ

スポットガイド 11月19日 ハイエナ

 ある動物に「スポット」を当てたイベント、それがスポットガイドです。毎月第3日曜日に実施していて、11月は僕が担当しているブチハイエナにスポットが当たりました。

 当日はハイエナがシカ肉を食べる様子をみせながら、ガイドを行いました。ガイドでは2つのテーマで話しました。1つは「ハイエナ科の仲間たち」について。ハイエナ科はブチハイエナ以外にも3種のハイエナがいますが、みんなちがってみんないい。シロアリを食べ、キツネのような見た目をした種から某映画&ミュージカルのおかげですっかり悪者のイメージがついた種まで、ほんとに様々です。そんな彼らを、写真を見せながらご紹介しました。

 もう1つのテーマは「獣害問題」について。「ん?ニュースでクマだの、シカだの言ってる、あの獣害問題?」。そうそう、それそれ。実はハイエナがむしゃむしゃ食べている『シカ肉』は、害獣として駆除されたシカのお肉なのです。

 ここからは少しお勉強の話。静岡市では野生動物によって年間約数億円もの被害が出ています。これ以上被害が増えては困るので「今年は○○を□□頭駆除しましょう」という決まりのもと、一定数が駆除されています。しかし駆除された動物の9割は利用されず、捨てられてしまいます。もちろん野生動物の数を抑え、人間とのいざこざを減らすことが目的ですが、それでもそのまま捨てるのではなく、利用できる部分は利用するほうが、道徳的にも良いということで、動物園では、そんな訳あり肉を有効活用しています。当園では伊豆地方で獲れたシカ肉をネコ科動物やハイエナに与えています。骨付きの大きい肉のため、肉を裂いたり、骨を砕いたりと、いつもより時間をかけた楽しい食事になります。さらに低脂肪高たんぱくで栄養満点です。解凍するだけで与えられるので、余計な手間もなく、飼育員もニッコリです。害のある動物として駆除されたシカが、動物園では重宝されています。鹿なのに、一石二鳥、いや五鳥くらいあるんです。

 さて、長々と書きましたが、「動物園って意外と色々やってんだなぁ」と思ってもらえたら何よりなスポットガイドでした。

藤森 圭太郎リカルド

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