でっきぶらし(News Paper)

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50号(1986年04月)3ページ

動物園の一年(前編)◎四月 ナマケグマの母子一般公開、ペンギン舎完

春の兆しが見えて、出産の第一号はバーバリーシープ、続いてパラワンコクジャクのふ化でした。
しかし、この月で春よ春と思わせたのは、何といってもナマケグマ母子の一般公開でした。涙を飲んだ動物達、その後や良母愚母の中で語ったように、惨たんたる経過を歩んできた中で、ようやくのこと結実したひと粒種です。それが、順調に成長して一般公開できるようになったのですから―。
一勢に注目を浴びる中で無心に戯れる母子、絵になる光景にお客様だけでなく、私たちもつい見惚れる程でした。放飼場の隅でのどをならしひたすら母の乳を飲む子の姿が、昨日のことのように思い出されます。
ペンギンといえば南極、全くの誤解ではありませんが、その誤解に近いイメージを武@することと、加えて繁殖可能な巣作りや足の裏にできるこぶ、趾瘤症の防止が大きな課題でした。従って、新しいペンギン池は従来のイメージに捕らわれず、砂と緑を主体にし、本来の生息地を考えて造られました。
又、フンボルトペンギンだけでは寂し過ぎるとのことで、マカロニペンギン四羽が新たに来園。以前よりいた一羽共々一緒に飼育されることになりました。ですが、当初落ち着けなかったのか、登れない筈の壁をよじ登り、係員を初め、周囲の者を少々慌てさせました。
耳飾りの美しさで、伊達男と粋な名を持つこのペンギン、名前とは裏腹にとんだいたずら者でした。それにしても、ペンギンのツメの鋭さには全く恐れ入りました。
月末にアカテタマリンが二度目の出産、前回は、離乳した頃に突然ガクッ、不幸な目に遭わせてしまっただけに、担当者には秘かに期すものがあっただろうと思います。
他、ハイイロキツネザルのエルザ(雌)がダウン、尿検査をしたところ、糖尿病の疑いありとのこと。果実類を減らし、低カロリーのササを餌の主体にすることによって、容態は少しずつよくなったようですが、まさかと思わせる病気ではありました。

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