136号(2000年07月)11ページ
【動物園実習を通して】 岐阜大学 獣医学科 千切麻里衣
7月22日から28日まで一週間お世話になりました。
初日、病院に着くやいなや朝の掃除と餌やりを教えて頂き、翌日にその場に立ったのは私だけ。で、誰がやるの…???ということで、社会の荒波にもまれる毎日になるかと覚悟しました。が、しかし、私のたびかさなる失敗−プレーリードッグとウサギを脱走させたり、残餌を全部捨ててしまったり、培地を造るのに失敗して、すべて廃棄になってしまったり。吹き矢を吹けば半端にしか当たらないし、教えてもらった掃除と餌やりすらまともにできず…、あげればきりがありません−にもかかわらず、常に優しく「大丈夫だよ」、と言いつづけて下さった病院スタッフの皆さんに見守られ、楽しく実習させてもらうことができました。
動物園の裏側を少し見せてもらって感じたのは、月並みですが、動物と人間との関わりについてでした。今回、ゾウ、類人猿、アリクイ、鳥類など、いろいろな動物を見せていただきましたが、今までと違う見方として、それぞれの飼育員の方とのつながりを感じました。そうやって見ると、動物たちの表情が、とても身近に思えて、一つ一つのしぐさを、人間のしぐさに置き換えて、感情の部分を勝手に解釈してしまいそうになるほどでした。動物園動物が、人間と関わるのを目撃できるのは、やはりこうして実習に来たりしないと見られないのかな、などと思うので、よい経験をさせてもらえたと感謝しています。ちょっと大げさですが、動物と人間はお互いに、関わらないでは生きていけないのだから、動物園という限られた空間の中とはいえ、愛情を示しあっていくのは可能だということを、すべての人が知ってくれるといいなあと願います。
付け加えるなら、獣医は動物に嫌われる、ということも、なんとなく覚悟させてもらいました。吹き矢で撃つ人なんて、そりゃ、嫌いますよね…。まあ、健康なのと仲良くすることにします。(笑)
たった一週間でしたが、とても貴重で楽しい経験をさせていただけました。身近にいた方の胃に穴をあけていないかが心配ですが、日本平動物園への愛着が増してしまったので、帰省する際には、お客としてまた寄らせてもらうことになると思います。その時はまたよろしくお願いします。
本当に、ありがとうございました。これからも、魅力的な動物園を維持してください。