でっきぶらし(News Paper)

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110号(1996年03月)7ページ

動物の仕草あれこれ?V(草食獣編)【力比べ、バーバリシープ】

 ボスの座が安定しているのか、最近はとんとみられなくなりました。群れが安定し平和な証拠なので、喜ばしくあるのですが、あの光景は時折、やはり懐かしく思うことがあります。
 「何か」が抜けています。オスとオスの力比べです。太く大きな角と角とがガチ―ン、かなり遠くまで響きます。雄々しいと言うか、それぞれの動物に内在するエネルギーを感じずにはいられません。
 君臨しているボスに、若オスが徐々に力をつけてきて自分自身に自信がついてくると、ボスの座にチャレンジするようになります。当然ボスは負けずに己の力を誇示しようとします。それが力比べ、角と角を激しくぶっつけあう行動となって表れてきます。
 見たくありつつも、飼育下では事前にどちらかを排除する方が賢明です。スペースが限られているところでのトラブルは、往々にして周囲の者を巻き込んでしまいます。
 力が拮抗したままなら、それはそれでよい結果を招きません。考えてもください、限られたスペースながら常に平和が保証されているのです。何者かに襲われる確率は限りなく0%に近いのです。
 と言うことは、やり出すといつまでも角をぶっつけ合います。野生の者と比べると、それは数倍に及ぶかもしれません。角があるところは頭部だけに、脳障害が出る恐れが大です。
 それは、初代のボスとその長男との間で起こりました。果てしない力比べは、双方に脳障害が起きる結果を招いて終息してゆきました。しっかり起立できなくなった哀れな様は、今でも鮮明な記憶として残っています。
 近交劣化の影響でしょう、かつてのボスと見比べると小型化しているように思われます。でも、旺盛な繁殖力は衰えておらず、いつか又、力比べをやり始めるかもしれません。

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