でっきぶらし(News Paper)

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101号(1994年09月)5ページ

あらかると 学外実習を行なって   

北里大学 獣医学科5年 古郡寿一
 日本平動物園には子供の頃から何度となく来たことがあり、自分にとって最も親しみのある動物園で、一度客の側ではなく飼育・診療の立場から動物園をみてみたいと思っており、今回の学外実習を良い機会とし、当動物園で二週間の学外実習を希望し行ないました。また、以前県内の動物病院でバイトをしていた時に野鳥等の保護治療を当動物園の動物病院で行なっているとの話を聞き、その点についても興味を抱いたことも動機の一つです。
 本実習で実施の獣医学について体験し、かつ学ぶことができたと共に園内の飼育・診療の実態にわずかでも触れられたことは、大変有意義なことだと感じました。今までとは動物をみる立場が変わったことにより、興味深い動物の生態や話を見聞きすることができました。サンタレムマーモセットの出産が実習中にあり、生まれてまもない子や自然哺育の様子をよくみれたり、アジアゾウのシャンテイやダンボの性格や繁殖の希望について、飼育係の人たちから話を聞けたりと得した感じがしました。また、園内の見回りをかかさず、異状の有無や治療後・退院後の回復具合をみてそれに対処している獣医師の仕事に改めて気付くことができました。
 それと共に、防災訓練時の通常と異なる行動でパニックをおこした類人猿やニホンツキノワグマが餌を食べなかったり、夕方入舎しなかったことや、自然哺育を行なった霊長類の話等、動物のデリケートな点とその飼育の難しさにも触れることができました。
 そして園内の動物病院について園内の動物の健康管理・繁殖の他に、野生傷病鳥獣保護センターとしての役割にも触れることができ、県より委託されていて年間約六百の傷病鳥獣の保護治療をしているそうで、まずその数に驚きました。そのほとんどが鳥であり、その給餌に事務所の人達も協力しているなど現場の事情を知ることができ、自然保護という問題について改めて考えることができました。
 また、捕獲されたイグアナやサバンナモンキー等が収容されており、ペットブームの影響か、無責任な飼い主がいるとの話は知っていたがその実情をみたことにより、半ばあきれると共に無視できない問題であると感じました。
 今まで述べてきたこと以外にも、現場でなければわからないいろいろなことに触れることができ、動物園や自然保護についてまた違った見方ができるようになり、獣医学的なことはもちろん、それ以外についても勉強になりました。有意義な実習を行なうことができ、この間多くの方にお世話になり、大変うれしく思っています。ありがとうございました。この二週間の経験を今後の勉強に活かしてがんばっていこうと思います。

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