61号(1988年01月)4ページ
動物の食べ物 熱帯鳥類館
熱帯鳥類館が装いを新たにしたのは、もう5年も前のことです。旧館から移動したのに加え、新たに渓流や干潟の鳥のコーナー、あるいはジャングル展示などが設けられ、より華やかさが目立つようになりました。
オオオオハシ、アカガシラエボシドリ、オオサイチョウ、更にジャングル展示室の鳥類を見ていると、熱帯の鳥類のあでやかさを感じずにはいられません。一つ一つが宝石のようであり、自然がなした芸術品であるとすら思えてきます。
これらの鳥類にいったいどのような飼料がどのように与えられているのでしょう。飼育係生活を19年近く続けながらも、鳥類はどうも苦手です。皆様に情報を提供するというより、私自身が勉強するつもりで彼らの生活ぶりを追ってゆきたいと思います。
堆肥当番の係がついでにと運ぶ熱帯鳥類の飼料ケースを見ても、特別変わったものが入っている訳ではありません。リンゴ、ミカン、バナナ、トマト、ブドウ、パン、ゆでタマゴなどが整然と入っているだけで、むしろ霊長類の飼料とさして変わりのないことを抱かせます。
食べ物に変わりがあるのではなく、与え方や食べ方に変わりがあると考えたほうがよいのではないでしょうか。1年程前だったでしょうか、「ZOOしずおか」で鳥類のくちばしの特集を組んだ際、食性との関連を今更ながらもつくづく感じ入ったものでした。
彼らには手がありません。翼に変身してしまっているのですからない訳です。で、その代わりというより兼用をなしているのがくちばしです。魚類を食べる種、肉類を食べる種、穀類を食べる種、固い種子を食べる種などの間で実に見事な違いが生じています。ちなみに申すなら、その差異は臓器にまで及んでいます。