でっきぶらし(News Paper)

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62号(1988年03月)9ページ

動物病院てんやわんや〜人工哺育抄〜◎動物病院の役割・目的はいずこへ

 動物病院に持ち込まれて人工哺育されたのはこの5種類です。繰り返せば3月10日にヒョウ、ツチブタ、12日にコモンマーモセット、29日にクロキツネザル、翌月14日にはピグミーマーモセット(2頭)。短期間に相次いだのがお分かり頂けたでしょう。
 仕事の合間をぬって彼らに4時間置き、1日に5回も哺乳せねばならなかった担当者や代番者の苦労は並大抵ではありません。でも何かがあれば、それは皆獣医の負担となってかかってゆきました。
 面倒見易い、経過を見て欲しい、助力、助言が欲しいからこそ動物病院に置いたのですが、ややもすればそれは動物病院を本来の目的から逸脱させかねない状況を招きました。寄贈や動物動物の受け入れ、傷病鳥獣の治療、防疫、検査、検疫等、200種の動物を預かる大元として動物病院の役割は重大です。 春先はそれでなくとも大変になるのです。やれツバメのヒナが巣から落ちた、キツネやタヌキのみなし子を引き取ってくれ等々、春らんまんに合わせての赤ちゃん騒動は外部からもやってくるのです。
 後々の語り草になるであろう、この育児の大奮闘。あの時は大変でたまらなかったけれど楽しかった、そう言えるよう、日々なお一層の努力、彼らをちゃんと育て上げるべく励むのみです。
 これを書いている間にもキリンが生まれ、チンパンジーが生まれました。そして、それらも予定通り人工哺育に―。園内も動物病院も、赤ちゃんのかしましい声で賑わい、今日も休む間もなく日は暮れてゆきます。
(松下憲行)

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