102号(1994年11月)8ページ
明日に向かって(1994年・主な出産動物) 無事出産もはらはらサン
ちょっと話題になった映画「グレムリン」をご存知でしょうか。あれとそっくりな小さなサルがいますが、それがサンタレムマーモセットです。
やってきたのは四月の上旬頃。実は来園する直前に出産、子供は衰弱死というアクシデントがあったのです。残念なことでしたが、新しい環境に慣れて落ちついてくれれば、予想以上に早く次の妊娠をしてくれるものです。
お腹が目立って大きくなってきたのは、それから何ヶ月後でしょう。出産の失敗を帳消しにする早さでした。が、油断は禁物。何分三百グラム余りの小さなサル、何が起きるのか分からぬのが、これらのサルを扱う際の恐さです。私自身も前担当者として、それは骨身に染みています。
無事出産し両親(オス、メスに限らず兄、姉がいれば共に面倒を見るのがこれらのサルの特秩jが面倒を見ているとの報に、一応ひと安心。しかし、しばらくして彼らのところから聞こえてきたのは、むやみやたらに鳴く子の悲鳴でした。
父親が悪いのか、母親が悪いのかは知りませんが、子がしょっちゅう置き去りにされ、止まり木にしがみついてないていたのです。これにはいささか呆れ返りました。
かと言って、全く放棄している訳ではありません。哺乳しなければ、すぐに生死をさまよいます。どうも根気が続かない、そんな感じでした。
それでもなんとか成育。相当のはらはらどきどきものでしたが、曲がりなりにも親が育てたのです。明日を考えるとその意味は大、サンタレムはサンタレムに大きくされてこそサンタレムマーモセットなのですから。